風景への旅 |
 |
『男はつらいよ』の第1作が公開されたのは1969年(昭和44)8月27日、第48作目が公
開されたのは1996年(平成7)12月23日。約27年間にわたって、日本国民に愛された。
この映画の魅力はたくさんあるが、特に、寅さんが旅する日本のなつかしい風景と土地の人々
との心温まるふれあいである。『男はつらいよ』は、おかしくて、かなしい。この映画を観る
と、今は消えてしまってもう見ることができない風景に出会える。
ここでは、映画のシーンを思い出しながら、寅さんが歩いた風景の今をたどってみたいと思う。
心に残る言葉/男はつらいよ語録 ★かばんアイコンの提供はこちら
■
山田洋次監督「映画の中の風景」(1995年)より
|

最終作のファーストシーン・美作滝尾駅 |
寅さんシリーズが始まってもう二十七年になる。寅さんと共に日本中を旅して歩いて、数だけは随分沢山日本の風景を写してきた。
そしてこの国の姿がすさまじい勢いで変わってゆくのを、まるで恐ろしいものを見るように眺め続けてきた。
そして今、写したい風景が本当にこの国から消えようとしている。
|
[男はつらいよ関連サイト]
男はつらいよ独尊記 史上最強の映画「男はつらいよ」についての月虎さんの独尊的な意見と
見どころの紹介、帝釈天や帝釈天参道、鎌倉シネマワールドの写真など。
風のふくまま
気のむくまま ツーリング中に立ち寄った「男はつらいよ」のロケ地の写真を
「寅さんの旅した風景」として掲載。
「男はつらいよ」覚え書ノート 各作品ごとに、場面描写、セリフが詳細に書かれている驚異的なサイト。
「男はつらいよ」ロケ地めぐり
かなり詳細に取材され、映画と同じアングルの写真が掲載されている。
葛飾柴又ホームページ
 |
全48作品 |
|
No. |
作品名 |
公開年月 |
ロケ地 |
ゲスト女優(役名) |
| ★ |
第1作 |
男はつらいよ |
69年8月 |
京都・奈良 |
光本幸子(冬子) |
|
第2作 |
続・男はつらいよ |
69年11月 |
京都 |
佐藤オリエ(夏子) |
|
第3作 |
フーテンの寅 |
70年1月 |
三重県湯の山温泉・種子島 |
新珠三千代(志津) |
|
第4作 |
新・男はつらいよ |
70年2月 |
名古屋 |
栗原小巻(春子) |
| ★ |
第5作 |
望郷篇 |
70年8月 |
札幌・小樽・千葉県浦安 |
長山藍子(節子) |
|
第6作 |
純情篇 |
71年1月 |
長崎・長崎県福江島・浜名湖 |
若尾文子(夕子) |
|
第7作 |
奮闘篇 |
71年4月 |
越後広瀬・富士・沼津・青森県鯵ヶ沢 |
榊原るみ(花子) |
|
第8作 |
寅次郎恋歌 |
71年12月 |
高知・岡山県備中高梁 |
池内淳子(貴子) |
|
第9作 |
柴又慕情 |
72年8月 |
金沢・福井・岐阜県多治見 |
吉永小百合(歌子) |
|
第10作 |
寅次郎夢枕 |
72年12月 |
長野県奈良井 |
八千草薫(千代) |
| ★ |
第11作 |
寅次郎忘れな草 |
73年8月 |
北海道網走 |
浅丘ルリ子(リリー) |
|
第12作 |
私の寅さん |
73年12月 |
大阪府堺・熊本県阿蘇 |
岸恵子(りつ子) |
| ★ |
第13作 |
寅次郎恋やつれ |
74年8月 |
島根県温泉津・益田・津和野 |
吉永小百合(歌子) |
|
第14作 |
寅次郎子守唄 |
74年12月 |
佐賀県唐津・呼子 |
十朱幸代(京子) |
| ★ |
第15作 |
寅次郎相合い傘 |
75年8月 |
八戸・青森・函館・長万部・札幌・小樽 |
浅丘ルリ子(リリー) |
|
第16作 |
寅次郎葛飾立志篇 |
75年12月 |
山形県湯殿山・伊豆大瀬崎 |
樫山文枝(礼子) |
|
第17作 |
寅次郎夕焼け小焼け |
76年7月 |
兵庫県竜野 |
太地喜和子(ぼたん) |
|
第18作 |
寅次郎純情詩集 |
76年12月 |
長野県別所温泉・新潟県六日町 |
京マチ子(綾) |
|
第19作 |
寅次郎と殿様 |
77年8月 |
愛媛県大洲 |
真野響子(鞠子) |
|
第20作 |
寅次郎頑張れ! |
77年12月 |
長崎県平戸 |
藤村志保(藤子) |
|
第21作 |
寅次郎わが道をゆく |
78年8月 |
熊本県阿蘇・田の原温泉 |
木の実ナナ(奈々子) |
|
第22作 |
噂の寅次郎 |
78年12月 |
静岡県蓬莱橋・長野県大桑村野尻 |
大原麗子(早苗) |
|
第23作 |
翔んでる寅次郎 |
79年8月 |
函館・旭川・支笏湖周辺 |
桃井かおり(ひとみ) |
|
第24作 |
寅次郎春の夢 |
79年12月 |
和歌山 |
香川京子(圭子) |
|
第25作 |
寅次郎ハイビスカスの花 |
80年8月 |
長野県軽井沢・沖縄県那覇・山形県酒田 |
浅丘ルリ子(リリー) |
|
第26作 |
寅次郎かもめ歌 |
80年12月 |
北海道江差・奥尻島・阿波徳島 |
伊藤蘭(すみれ) |
|
第27作 |
浪花の恋の寅次郎 |
81年8月 |
奈良県生駒・大阪府石切/天王寺・対馬 |
松坂慶子(ふみ) |
|
第28作 |
寅次郎紙風船 |
81年12月 |
大分県夜明・福岡県秋月・静岡県焼津 |
音無美紀子(光枝) |
| ★ |
第29作 |
寅次郎あじさいの恋 |
82年8月 |
信州・京都・丹後・鎌倉・滋賀県彦根 |
いしだあゆみ(かがり) |
|
第30作 |
花も嵐も寅次郎 |
82年12月 |
大分県湯平温泉、別府鉄輪温泉 |
田中裕子(螢子) |
| ★ |
第31作 |
旅と女と寅次郎 |
83年8月 |
新潟市、佐渡島・北海道支笏湖周辺 |
都はるみ(はるみ) |
| ★ |
第32作 |
口笛を吹く寅次郎 |
83年12月 |
岡山県備中高梁・広島県因島 |
竹下景子(朋子) |
|
第33作 |
夜霧にむせぶ寅次郎 |
84年8月 |
北上・盛岡・八戸・釧路・根室・養老牛 |
中原理恵(風子) |
| ★ |
第34作 |
寅次郎真実一路 |
84年12月 |
茨城県牛久沼・鹿児島枕崎、桜島 |
大原麗子(ふじ子) |
|
第35作 |
寅次郎恋愛塾 |
85年8月 |
熊本県天草・長崎県上五島・秋田県鹿角 |
樋口可南子(若菜) |
|
第36作 |
柴又より愛をこめて |
85年12月 |
福島県会津若松・静岡県下田、式根島 |
栗原小巻(真知子) |
|
第37作 |
幸福の青い鳥 |
86年12月 |
山口県萩/下関・福岡県飯塚/田川・芦ノ湖 |
志保美悦子(美保) |
| ★ |
第38作 |
知床慕情 |
87年8月 |
北海道川湯・札幌・知床・長良川 |
竹下景子(りん子) |
| ★ |
第39作 |
寅次郎物語 |
87年12月 |
和歌山市和歌浦・奈良県吉野・三重県賢島 |
秋吉久美子(隆子) |
| ★ |
第40作 |
寅次郎サラダ記念日 |
88年12月 |
長野県小諸市・長崎県島原城 |
三田佳子(真知子) |
|
第41作 |
寅次郎心の旅路 |
89年8月 |
宮城県松島、栗駒町・石川県羽咋 |
竹下景子(久美子) |
| ★ |
第42作 |
ぼくの伯父さん |
89年12月 |
茨城県袋田・佐賀・吉野ヶ里 |
後藤久美子(泉) |
|
第43作 |
寅次郎の休日 |
90年12月 |
大分県日田・名古屋 |
後藤久美子(泉) |
| ★ |
第44作 |
寅次郎の告白 |
91年12月 |
岐阜県奥恵那峡・鳥取・岐阜県姪川村 |
後藤久美子(泉) |
| ★ |
第45作 |
寅次郎の青春 |
92年12月 |
宮崎県油津・岐阜県下呂温泉 |
風吹ジュン(蝶子) |
|
第46作 |
寅次郎の縁談 |
93年12月 |
栃木県烏山・香川県琴平 |
松坂慶子(葉子) |
|
第47作 |
拝啓車寅次郎様 |
94年12月 |
新潟県上越市・琵琶湖・神奈川県鎌倉 |
かたせ梨乃(典子) |
| ★ |
第48作 |
寅次郎紅の花 |
95年12月 |
岡山県美作滝尾/津山・神戸・奄美大島 |
浅丘ルリ子(リリー) |
★は、わたしの好きな作品。一番好きなのは第39作「寅次郎物語」。どの作品も素晴らしく、観ることによって、
いつも勇気づけられます。観る季節や気分によって好きな作品が変わりますし、受け止め方も変わります。
■渥美さん本当にありがとう(1996年8月13日
山田洋次監督の弔辞)
今から五年前、大分県の日田市にロケをした「寅次郎の休日」のころから、渥美さんの体の震えが目立つように
なりました。四十六作、松坂慶子さんに出てもらった「寅次郎の縁談」では、瀬戸内海の小島の急な坂を上がり下
りするのがとてもつらそうだったことをよく覚えています。
昨年の秋に亡くなったキャメラマンの高羽さんと渥美さんは同じ病気で、二人の間には特別な情報の交換があっ
て、それを高羽さんの口から聞くという、つらい形で僕は渥美さんの病状が決して油断できない事を知っていまし
た。もうそろそろ幕を引かなければ行けない。渥美さんを寅さんの言うのんきで陽気な男を演じるというつらい仕
事から解放させてあげなければいけないと、しょっちゅう思いました。
しかし、四分の一世紀にわたって松竹の正月映画の定番であり続けた「寅さん」がなくなるということが、あま
りにも大きな問題であったこと。そして、もう一つは毎年、秋口になると家族のように親しいスタッフが集まって
正月映画を賑やかに作るという楽しみを打ち切るのがつらくて、もう一作だけ、いやもう一作なんとか、という思
いで四十七作、四十八作を作ったのです。
後で伺えば、渥美さんのドクターはこの遺作に渥美さんが出演できた事は、奇跡に近いといっておられたそうで
す。渥美さんはどんなにきつかったか。ああ、悪い事をした。僕は後悔をしています。
七月に入院して肺の手術をしたけど、その経過が思わしくなくて、渥美さんはとても苦しんだそうです。ベッド
の上に起き上がるのがやっとで、それもうつむいたままで、両手で机の端をきつく握り締めて、その机がカタカタ
と音を立てて震えていたそうです。あの渥美さんをなぜそんなに苦しめるのか。僕は天を恨みます。
渥美さん、長い間つらい思いをさせてすみませんでした。でも、僕とそして僕たちスタッフは貴方にめぐり逢え
てしあわせでした。今日、この会場にいる、あるいは表で汗だらけになって、車や弔問客の整理に駆けずり回って
いる僕のスタッフを代表して、今あなたにお礼をいいます。
二十七年間にわたって、寅さん映画を作り続ける喜びを与えてくれてありがとう。渥美さん本当にありがとう。

|
『男はつらいよ
寅さんの歩いた日本』
監修=山田洋次
近畿日本ツーリスト
1997年 2000円
・寅さん旅路マップ
・寅さんの歩いた日本
・寅さんの旅行術
・寅さん年表
・渥美清TV/映画全作品
など
表紙の写真は第42作の
唐津線小城駅
|

|
『寅さん大全』
監修=井上ひさし
筑摩書房
1993年 1600円
・寅さん第45作まで
・寅さんの人生
・旅から旅へのフーテン
暮らし
・恋する寅さん
・寅さん人間学
・さくらとその家庭
・とらやと柴又の人々
|

|
CD−ROM『男はつらいよ/右も左も寅次郎』
松竹(株)インクリメントP(株) Windows版・Mac版とも8500円
・見どころ満載・特選名場面集 ・ストーリーボード
・内容充実・寅さん資料集 ・初心者も安心・寅さんナビゲーター
・歴代マドンナ一挙勢ぞろい
CD−ROM『男はつらいよ/右も左も寅次郎 特別編』
松竹(株)インクリメントP(株) Windows&Mac Hybrid版2400円
・未収録の第48作「寅次郎
紅の花」の名場面
|
|
 |
「男はつらいよ」水彩スケッチ『寅さんが旅した風景』
西川幸夫著 日貿出版社 2003年 2200円
ロケ地180ヶ所を、取材日数2ヶ月、走行距離15000キロにわたり
車で巡ってスケッチし水彩画にした。
紀行文や映画のあらすじ、主な出演者名も添え、制作順に掲載されている。 |
|
since07/10/28
|
|