芭蕉が見た風景 月山・湯殿山 1689年6月6日
(陽暦7月21日)
04/4/27   E-100RS
05/10/19 *istD


 八日、月山にのぼる。木綿しめ身に引かけ、宝冠に頭を包、強力と云ものに道びかれて、雲霧山気の中に氷雪を踏てのぼる事八里、更に日月行道の雲関に入かとあやしまれ、息絶身こゞえて、頂上に至れば、日没て月顕る。笹を鋪、篠を枕として、臥て明るを待。日出て雲消れば 湯殿に下る。

 谷の傍に鍛治小屋と云有。此国の鍛治、霊水を撰て爰に潔斎して劔を打、終月山と銘を切て世に賞せらる。彼龍泉に剣を淬とかや。干将莫耶のむかしをしたふ。道に堪能の執あさからぬ事しられたり。岩に腰かけてしばしやすらふほど三尺ばかりなる桜のつぼみ半ばひらけるあり。ふり積雪の下に埋て、春を忘れぬ遅ざくらの花の心わりなし。炎天の梅花爰にかほるがごとし。行尊僧正の哥の哀も爰に思ひ出て、猶まさりて覚ゆ。惣而此山中の微細、行者の法式として他言する事を禁ず。仍て筆をとゞめて記さず。坊に帰れば、阿闍利の需に依て、三山順礼の句々短冊に書。

  涼しさやほの三か月の羽黒山

  雲の峯幾つ崩て月の山

  語られぬ湯殿にぬらす袂かな


  湯殿山銭ふむ道の泪かな  曾良
 


羽黒山中腹から見た月山。残念ながら曇っていた。
リアルタイム月山


月山にぜひ登りたいと思って再び出かけたが、10月19日時点で月山登山道は閉鎖されていた。また、いつか出直したいと思っている。
 

月光坂から湯殿山神社を見おろす。

月光坂を下りきった先にある含満の滝。


湯殿山神社付近の芭蕉(後)と曽良(前)の句碑。
 


湯殿山神社と大鳥居の中ほどにある仙人沢。
 

湯殿山有料道路から見た湯殿山神社大鳥居。

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