芭蕉が見た風景 象潟 1689年6月16日
(陽暦8月1日)
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2005/10/20

 江山水陸の風光数を盡して、今象潟に方寸を責。酒田の
湊より東北の方、山を越磯を傳ひ、いさごをふみて、其際
十里、日影やゝかたぶく比、汐風眞砂を吹上、雨朦朧とし
て鳥海の山かくる。闇中に莫作して雨も又奇也とせば、雨
後の晴色又頼母敷と、蜑の苫屋に膝をいれて、雨の晴を待。

 其朝天能霽て、朝日花やかにさし出る程に、象潟に舟を
うかぶ。先能因嶋に舟をよせて、三年幽居の跡をとぶらひ、
むかふの岸に舟をあがれば、花の上こぐとよまれし櫻の老
木、西行法師の記念をのこす。江上に御陵あり、神功后宮
の御墓と云。寺を干満珠寺と云。此處に行幸ありし事いま
だ聞ず。いかなる事にや。此寺の方丈に座して簾を捲ば、
風景一眼の中に盡て、南に鳥海天をさゝえ、其陰うつりて
江にあり。西ハむやむやの關路をかぎり、東に堤を築て、
秋田にかよふ道遥に、海北にかまえて、浪打
入るところを
汐ごしと云。江の縦横一里ばかり、俤松嶋にかよひて又異
なり。松嶋は笑ふが如く、象潟ハうらむがごとし。寂しさ
に悲しみをくはえて、地勢魂をなやますに似たり。


  象潟や雨に西施がねぶの花

  汐越や鶴はぎぬれて海涼し

    祭禮

  象潟や料理何くふ神祭    曾良

  蜑の家や戸板を敷て夕涼  
みのゝ國の商人低耳

    岩上に雎鳩の巣をみる

  波こえぬ契ありてやみさごの巣  曾良
   

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芭蕉が訪れたときは海だった。1804年に地震で隆起。

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蚶満寺(かんまんじ)仁王門。
   

蚶満寺から見た夕暮れの象潟。
   

蚶満寺境内の芭蕉像。
   

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蚶満寺の鐘楼そばに植
えられている芭蕉。
今も残る船つなぎ石。
昔、ここは海だった。
1763年、芭蕉70年
忌に建てられた句碑。
芭蕉は、晴れた日に、
欄干橋から鳥海山を見た。

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