是より殺生石に行。館代より馬にて送らる。此口付のおのこ、短冊得させよと乞。やさしき事を望侍るものかなと、
野を横に馬牽むけよほとゝぎす
殺生石は温泉の出る山陰にあり。石の毒気いまだほろびず。蜂蝶のたぐひ真砂の色の見えぬほどかさなり死す。
奥の細道への旅で、栃木県でもっとも楽しみにしていたのが殺生石である。温泉神社近くの観光駐車場に車を置いて、温泉神社の那須与一寄進の鳥居をくぐる。境内からは、殺生石へ続く賽の河原が見える。
社殿の右手を進み河原へ降りて行くと、正面に殺生石が見えてくる。晴れた空に殺生石が鈍い光を放っていて、あたりには硫黄のにおいが漂っている。おそらく芭蕉が見た頃の風景とほとんど変わっていないのではないかと思う。
近くに、「いしの香やなつ草あかく露あつし」の芭蕉句碑が建っている。 |
 |