芭蕉が見た風景 山刀伐峠 1689年5月17日
(陽暦7月3日)
2001.5.30取材
CAMEDIA E-100RS

 あるじの云、是より出羽の国に大山を隔て、道さだか
ならざれば、道しるべの人を頼て、越べきよしを申す。
さらばと云て人を頼侍れば、究竟の若者反脇指をよこた
え、樫の杖を携て、我々が先に立て行。けふこそ必あや
うきめにもあふべき日なれと、辛き思ひをなして後につ
いて行。あるじの云にたがはず、高山森々として一鳥聲
きかず、木の下闇しげりあひて夜る行がごとし。雲端に
つちふる心地して、篠の中踏分々、水をわたり岩に蹶て、
肌につめたき汗を流して、最上の庄に出づ。かの案内せ
しおのこの云やう、此みち必不用の事有。恙なうをくり
まいらせて仕合したりと、よろこびてわかれぬ。跡に聞
てさへ胸とゞろくのみ也。


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    ブナの新緑におおわれた旧道の峠道。
    鳥や虫の声がにぎやかだった。


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旧道への入り口。

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峠の頂上。
子持ち杉、地蔵堂、むこうに句碑。
今は「高山森々」というほどではない。

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