芭蕉が見た風景 須賀川 1689年4月29日
(陽暦6月15日)
2001.5.27 CAMEDIA E-100RS
2004.4.23 CAMEDIA C-5060

 
とかくして越行まゝに、あぶくま川を渡る。左に會津根高く、右に岩城・相馬
・三春の庄、常陸・下野の
地をさかひて山つらなる。かげ沼と云所を行に、今日は空曇て物影うつらず。すか川の驛に等窮といふもの
を尋て、四五日とゞめらる。先白河の關いかにこえつるやと問。長途のくるしみ、心身つかれ、且は風景に
魂うばゝれ、壞舊に腸を斷て、はかばかしう思ひめぐらさず。


  風流の初やおくの田植うた

無下にこえんもさすがにと語れば、脇・第三とつゞけて、三卷となしぬ。

 此宿の傍に、大なる栗の木陰をたのみて、世をいとふ僧有。橡ひろふ太山もかくやと閑に覚られてものに
書付侍る。其詞、

  栗といふ文字は西の木と書て 西方浄土に便ありと、行基菩薩の一生杖にも 柱にも此木を用給ふとかや。

  世の人の見付ぬ花や軒の栗

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ミニナイアガラ・乙字ヶ滝。

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芭蕉句碑。
芭蕉と曾良が須賀川に着いたのは5月2
2日、相楽等躬(さがらとうきゅう)宅を
たずね29日まで滞在している。本文に
は書かれていないが、29日に郡山へ向
かう途中に、石河滝に立ち寄っている。

石河滝は今は乙字ヶ滝と呼ばれている。
阿武隈川が「乙」の字形の崖の部分が、
幅約60m、落差約3mの滝になってい
る。

ここで芭蕉が詠んだ句が、「五月雨の瀧
降りうづむ水かさ哉」であり、江戸期に
建立された句碑が、滝のすぐそばの滝見
不動の境内に立っている。


「世をいとふ僧」河伸庵跡。


河伸庵跡の「世の中の」の句碑。


十念寺の「風流の」句碑。

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