文学散歩

牧水二本松公園

絶唱が生まれた新見市哲西町二本松をたずねる。
10/3/14 PENTAX K10D/16-45
 

幾山河越えさり行かば
寂しさのはてなむ国ぞ
けふも旅ゆく


この歌は、牧水が早稲田大学の学生であった明治40年7月、夏休みに郷里宮崎県への帰途、岡山・高梁・新見・宮島・山口と中国地方を旅したときに得た歌の中の一つで、二本松峠の熊谷屋に泊り、これをハガキにしたためて、学友有本芳水へ送った歌であるという。

牧水がここ二本松峠を通ったのは、
田山花袋の「蒲団」の舞台となった新見市を訪れるため、総社の湛井から備中路に入り、高梁、新見を経て、恋人園田小枝子のいる安芸の国へ向かう途中だった。


かつて、ここは備後と備中の国境であり、番所が置かれていた。いま国境付近は、牧水二本松公園として整備されている。
 
    

二本松峠の碑。

2基の国境石。むこうが備中、手前が備後。
    

牧水が泊まった熊谷屋の復元家屋。

けふもまた こころの鉦をうち鳴らし うち鳴らしつつあくがれて行く
    
昭和39年に「幾山河」の碑が建てられたときに牧水夫人が歌を詠んだが、その歌碑が昭和49年に建立された。
あくがれの旅路のゆきつ此処にやどり この石文のうたは残し
うつそ身の老のかなしさうらめしさ ただ居つ起ちつ志のぶばかりぞ

息子の旅人も夫人の歌碑の除幕式のときに歌を詠み、のちに旅人の歌碑も建てられた。
若くしておきにし夫のかたはらに 永久の睦みをよろこばむ母は

手前が夫人の歌碑、右手が旅人の歌碑。


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