文学散歩

若山牧水のふるさと

牧水生誕の地をたずねる。
2007/2/5 *istD
若山牧水 Official Web Site


若山牧水は、明治18年(1985)8月、宮崎県東郷町坪谷に生まれた。本名は若山繁。旅を愛し酒を愛した牧水は、生涯にわたって多くの素晴らしい歌を遺した。

牧水の歌は「あくがれ」の文学とも言われ、旅にあくがれ、自然にあくがれを抱く歌人だった。

牧水は、地元の尋常小学校を卒業後、旧制延岡中学校へ進学。この時期に文学を好むようになり、校友誌に短歌や俳句を発表し、中央の新聞や雑誌にも投稿する。その後、早稲田大学文学科高等予科へ進む。

牧水が18歳までを過ごした日向市・延岡市に牧水の足跡をたずねた。

←道の駅「とうごう」の歌碑

 幾山河こえさりゆかば
 びしさのはてなむ国ぞ
 けふも旅ゆく

●生家
牧水の生家は国道446号線に面している。


生家前には桜の古木。花の頃はきれいだろう。


昭和2年7月に妻喜志子と帰郷したときにここで記念撮影。



7年半ぶりに生家付近を通りかかったので立ち寄った。2014/7/5 EOS 5D
夫婦歌碑が、牧水没後80年・喜志子没後40年を記念して2009年に建造されていた。

をとめ子の かなしき心 持つ妻を
四人子の母と おもふかなしさ  牧水

うてばひびく いのちのしらべ  しらべあひて
世にありがたき 二人なりしを  喜志子



前回見逃した「牧水生誕之地」碑。

●生家付近

生家のすぐ前には、牧水が遊んだ坪谷川が流れ、川のかなたには尾鈴山が見える。
生家付近の裏山には自然石に刻まれた歌碑がある。牧水は、この岩に座って坪谷川や尾鈴山をながめたという。

『おもひでの記』には次の様に書かれている。

私の生れた村、詳しく云へば日向国宮崎県東臼杵郡東郷村大字坪谷村は山と山との間に挟まれた細長い峡谷である。
ことに南には付近第一の高山である尾鈴山がけはしい断崖面を露はして眼上(まうえ)に聳えているので、一層峡谷らしい感じを与へて居る。
村の長さは東西に延びて四五里もあるだらうが、戸数は僅か二百か三百足らずのものであると思ふ。
私の家はその一番戸であった。(今は三番地と呼ぶ亊になっている相だ)つまり村の東の入口に当たっている。

其処に新たに家を建てた亊に就いても私は祖父を並ならぬ人の一つに思はざるを得ぬのである。
それはその場所が付近でも際立って優れた好位置にあったからである。
或は他に理由があったのか、若しくは偶然であったかも知れぬが、私には矢張りそれが彼に山川を見る眼があった故だとのみ思はれてならない。
家は村を貫通する唯一の道路に沿ひ、真下に渓に臨んで居る。
そして恰度その渓は其処まで長い滝の様になって落ちてきた来た長い長い瀬が、急に其処で屈折して居るために其処だけが豊かな淵となり、
やがてまた瀬となって下り走り、斜め右と左とに末遠くその上下の渓を展望することが出来る地位にある。


生家前の坪谷川と尾鈴山系。


生家の裏山にある歌碑。文字がほとんど読めない。
ふるさとの 尾鈴の山の かなしさよ
秋もかすみの たなびきてをり
牧水の命日である9月17日には、ここで牧水祭が行われる

道の駅「とうごう」の歌碑

東国から遠い日向に住む母を思った歌

日向の国むら立つ山の
ひと山に住む母恋し
秋晴の日や


坪谷川を渡って記念館へ行くには牧水橋を渡る。前回見逃した牧水橋の歌碑プレート。書は子息の旅人。
2014/7/5 EOS 5D


上つ瀬と 下つ瀬に居りて をりをりに 呼び交しつつ 父と釣りにき


淵いでて たかく乾ける ひとつ岩 をさなき父が 鮎釣りし岩 旅人

牧水橋の東の国道沿いに坪谷中学校があった。
2011年に統廃合され、坪谷中学校は廃校となった。
牧水の時代は旧制だったので、牧水はこの中学校へは通っていない。
延岡市の延岡中学校へ進学している。現在の延岡高校である。


坪谷中学校の校舎前の前庭に歌碑がある。
わか竹の伸びゆくごとく こどもらよ 真すぐにのばせ 身をたましひを


2018/1/24 K-7


若山牧水記念文学館
坪谷川を渡ると正面に文学館が見え、右手の広場には旅姿の牧水の像がある。





●坪谷小学校 2014/7/5 EOS 5D
生家から西へ600mほど行くと、牧水が通った坪谷小学校がある。牧水生家前のバス停そばに案内板があり、歌が書かれている。
すみやかに 過ぎゆくものを やよ子等よ 汝が幼な日を おろそかにすな




坪谷小学校正門。
都会の学校のような鍵がかかる柵はなく、開放的。


運動場の西端にある歌碑。
ほととぎす鳴くよと母に 起こされてすがる小窓の 草月夜かな

歌碑の近くに卒業生がコンクリートに刻んだ歌碑が並んでいる。

●東郷町役場(日向市東郷総合支所)


東郷町役場には大きな自然石の歌碑がある。
桜を詠んだ一連の歌の中のひとつ。

うす紅に葉はいちはやく萌えいでて
咲かむとすなり山桜花



●延岡市駅 2018/1/24 K-7


幾山河こえさりゆかば さびしさのはてなむ国ぞ けふも旅ゆく

改札口を出ると牧水像が出迎えてくれる。
かつてはホームにあったという歌碑が駅前の小公園にある。


●延岡市台雲寺 2012/7/23 K20D

石段を上ると仁王門があり、本堂右手の植栽の中に、長男旅人の筆による牧水の歌碑がある。

なつかしき城山の鐘鳴り出でぬ
幼かりし日ききしごとくに


同じ歌の歌碑が城山公園の北大手門から三の丸への途中にある。
おとずれた夕方5時、台雲寺の鐘が3回鳴った。


延岡城のシンボル、千人殺しの石垣。

2018/1/24 K-7

●日向市権現崎

牧水は大正元年から2年にかけて、度々美々津をおとずれているが、権現崎へ行ったかどうか定かではない。



権現崎にたつ歌碑。むこうに「みひかりの灯」美々津灯台が見えている。
海よかげれ 水平線の黝くろみより雲よ出で来て 海わたれかし



延岡高校の牧水像。


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