シネマ紀行
 ふるさと
 岐阜県旧徳山村   2001/6/3 CAMEDIA E-100RS

  1983年 こぶしプロ 106分
 [監督]神山征二郎
 [原作]平方浩介
 [脚本]神山征二郎
 [撮影]南文憲
 [音楽]針生正男
 [出演]加藤嘉、長門裕之、樫山文枝、浅井晋、前田吟、樹木希林ほか

 物語の舞台は岐阜県揖斐川の上流旧徳山村。ダム建設のため水没してしまう運命にある徳山
  村の新緑の初夏から粉雪が舞い始める初冬までの美しい風景を背景に、痴呆老人・じいと孫
 の少年・ぼうとの交流を描いている。
  徳山村の美しい風景と針生正男のテーマ音楽が印象的な映画だった。

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  じいとぼうは、長者ヶ淵というところへアマゴを釣りに行く。そのときに、じいはぼうに言う。

  山はなぁ、ひとりでおっても、ちっともさびしゅうないんじゃ。
  木や花がなぁ、みんな生きとるから、山にゃそういうものがいっぺえあるから、
  ひとりでおっても、ちっともさびしゅうないんじゃ。

 映画『ふるさと』は、封切を当時小学生の息子といっしょに観て大変感動した。
  息子は、この映画に登場する少年と同じ年頃だったが、どんな風にこの映画を観ただろうか。
  今では、この映画を観たことさえもおぼえていないだろう。


 映画『ふるさと』の舞台であり、ロケ地でもある徳山村をぜひ訪ねてみたいと思っていた。
 徳山村へ行くには、国道417を岐阜か福井から入ることになる。岐阜から入ると国道417号線でそのまま行ける
  が、福井から入ると林道冠山線で冠山峠を越えることになる。福井から入ることにした。

 池田町で国道417号線が尽き、ここから峠までは林道を約9km。この林道は、断崖に作られ、ガードレールがな
  く、落石が多い。細心の注意を払いながらゆっくりと進む。約30分で冠山峠に着いた。当日は日曜日、標高1257m
  の冠山への登山者の車で満杯状態だった。

 ここから、さらに10kmほど峠を下ると、林道が終わって再び国道417号線となり、徳山村の中心部へ入って行
  く。美しい流れの揖斐川には、かって住民が行き来した橋が残っていた。民家は完全に取り壊され、県道わきに公衆
 電話が設置された小屋があり、丘の上には2階建ての校舎が見えた。

 かって、徳山村には、8集落、532世帯、1639人が住んでいた。1957年にダム建設が持ち上がり、1980年代前
  半に住民は移住したが、ダム建設は大幅に遅れ、2001年時点でまだ完成していなかった。

 冠山峠

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   福井・岐阜県境の冠山峠。                   徳山村方面へ下る途中に見える冠山 。

 揖斐川

   
   揖斐川に架る橋、わずかに残る生活の痕跡。長者ヶ淵はこの上流にあるのだろうか。

 徳山村中心部

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   映画「ふるさと」の碑。 公衆電話のある小屋と徳山小学校校舎。    映画にも登場した吊り橋。

    
   注意看板。クリックすれば拡大画像へ。        映画「ふるさと」碑の説明板。クリックで拡大画像へ。
   記念碑も説明板もダムに沈んだのだろうか。それとも移設して保存されているのだろうか。


   
   
引っ越しの車列が馬坂峠にさしかかる。一行は車を止めてふるさとに別れを告げる。

   映画『ふるさと』のラストシーンは、粉雪の舞う馬坂トンネル前からの徳山村の俯瞰であった。
   今も同じ地点に立つ事ができるようであるが、眼下にはダム湖が広がっているだろう。


  
    
徳山ダム本体の工事現場。
 
  ダムの必要性が全国的に論議される中で、徳山ダムは2008年10月に完成し、旧徳山村は水没した。
   一方、熊本では2011年に川辺川ダムの建設が中止され、五木の子守歌の里が守られた。


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