シネマ紀行
 家族
 長崎市伊王島、長崎駅  一部を除き2004年1月20日取材

  1970年 松竹 107分
[監督]山田洋次
[脚本]
山田洋次、宮崎晃
[撮影]高羽哲夫
[音楽]佐藤勝
[出演]
倍賞千恵子、井川比佐志、笠智衆、前田吟、渥美清、塚本信夫

長崎県伊王島に住むカトリツク教徒の家族が、閉山間近かの炭鉱を追われ、新天地を求めて高度経済成長期の日本列島を北海道の農場へと向かう物語である。

昭和45年(1970)4月6日から10日までの家族の旅を中心に、回想シーンをまじえながら展開している。慌しい時代背景の中で、夫婦と子供2人そして舅の5人が、数々の苦難に遭遇しながら身も心もポロポロになつてゆ<。

まだ貧しかつたころの日本と必死に生きている日本人の姿を、当時の日本の風景と共に描いている。プロローグを飾る美しい伊王島の風景が印象に残る 。

 

 沖ノ島天主堂


   
カランカランと鐘が鳴り、天主堂裏の畑の
道を右から左へ民子が歩いているところか
ら映画は始まる。すぐ左手に、家族5人が
暮らす木造の粗末な家がある。折りしも北
海道への出発の日で、あわただしく出かけ
てゆく。

畑からの風景は、1970年当時とほとん
ど変わっていない。木造の家はオープンセ
ットなのか、本物の家なのか分からないが、
畑の左手には家はなく、雑草が生い茂って
いた。

映画では、すぐ近くにある伊王島炭鉱のト
ロッコが映し出され、民子が作業をしてい
る人と別れの挨拶をするシーンがある。伊
王島炭鉱は、昭和16年(1941)に開かれ、
ロケが行われた2年後の昭和47年(1972)
に閉山となった。


   

91.12.14撮影
精一と民子が結婚式をあげる沖ノ島天主堂は、昭和6
年に再建されたもので、国の登録文化財に指定されて
いる。現在、観光客は聖堂内へは入れない。

 キリシタン墓地〜商店〜新組橋


墓地からの風景。折りしも定期船が長崎港へむかっている。
   
丘の上にある墓地でお別れの墓参りをしているおじいちゃん
の源造に声をかけ、商店街をぬけ、新組橋を渡って港へと急
ぐあわただしい模様が展開される。

丘の上の墓地は少し荒れた感じだった。この家族のように島
を離れた人たちの先祖の墓もあるのではないだろうか。

船着場には、ロケのころの面影はなく、ルネッサンス伊王島
という観光推進事業にあわせて、オレンジ色を基調とした真
新しいものに変わっている。







   

炭鉱があった頃はにぎわったであろう商店。
むこうに見えるのは、その名も賑橋。

賑橋の先にあるのが新組橋。
   

 長崎駅

県庁に用事があるという友人が長崎駅前まで見送って
くれる。友人とそこで別れ、おとな3人と子ども2人
の家族は長崎駅から急行列車に乗る。家族のバックに
は長崎駅の時計が映し出され、青江美奈が歌う「長崎
ブルース」が流れている。

長崎駅は再建され、かつての面影はない。

左の写真は、昭和50年(1975)年9月14日朝、友人
との長崎の旅で、急行「ながさき」から降りたときに
撮影したものである。時刻は7時9分をさしている。
うしろには稲佐山へと続く山並みが見えている。