シネマ紀行
 美しい夏キリシマ
 宮崎県えびの市  2011年10月7日取材  PENTAX K20D

  2002年 ランブルフィッシュ 118分
[監督]
黒木和雄
[脚本]
松田正隆、黒木和雄
[撮影]
田村正毅
[音楽]
松村偵三
[出演]
柄本佑、原田芳雄、左時枝、小田エリカ、石田エリ、香川照之、牧瀬里穂、中島弘子、平岩紙、寺島進、眞島秀和ほか

1945年8月、霧島を望む宮崎のある農村。
空襲で同級生を失ったショックから体調を崩し肺浸潤と診断された中学3年生の日高康夫(柄本佑)は、満州に住む両親と別れ、
厳格な祖父重徳(原田芳雄)と優しい祖母しげ(左時枝)の下でぼんやりと自宅療養の日々を送っていた。康夫に想いを寄せる従姉
の世津子(平岩紙)。その気持ちを察するほど康夫は大人ではなかった。

村には中国大陸から引き揚げた兵士たちが駐屯し、本土決戦に備えて演習に余念がなかった。
その中のひとり・豊島一等兵(香川照之)は、日高家の奉公人であるなつ(小田エリカ)の母・イネ(石田エリ)と密会を重ねている。
日高家のもうひとりの奉公人はる(中島弘子)が、重徳の強い勧めで、戦地で片足を失った帰還兵(寺島進)と結婚することになった。
はるの祝言に合わせ里帰りした康夫の叔母美也子(牧瀬里穂)は、出撃を控えた海軍少尉(眞島秀和)と秘かな想いを通わせていた。

ある日、空襲で見殺しにした友人の幼い妹に許しを乞いに行った康夫は、彼女に兄の仇を討ってくれるよう言われる。
ところが、何を相手に戦えばいいか判らない彼は、ただ竹槍を携えて掘った穴に身を潜めるばかりだった。
やがて終戦が訪れ、信じていたものを失った重徳は一気に老け、イネはひとり息子を連れて村を出て行った。
そして、康夫は進駐して来たアメリカ軍に竹槍を振り回すも、彼らが威嚇発砲した銃の音に驚き倒れる。
goo映画より引用


えびの市白鳥から見た霧島連山。夏がすぎて実りの秋をむかえた田んぼには、田の神がぽつんと立っていた。霧島山はかすんでいた
   
めがね橋
オープニング、アカボシウスバシロチョウという日本には生存していない蝶が映し出される。
そして、めがね橋の欄干にもたれてぼんやりしている康夫のまわりをアカボシウスバシロチョウが舞う。
空襲で亡くした友の霊なのか、康夫自身の魂の象徴なのか、何を意味しているのだろうか。

めがね橋。→月乃木川拱橋

陣の池で出会った蝶。

黒木邸
康夫が身を寄せる祖父の家。黒木監督の実家で、大正時代の建築、登録文化財に指定されている。
ロケのメインとなった場所だけに、建物の中をぜひ見たいと思って出かけたが、非公開のようで鍵がかかっていた。
   

えびの駅
康夫が、嫁ぎ先から里帰りした叔母の美也子や後輩たちを出迎えるのが、霧島線霧野駅としてロケされたえびの駅。
駅舎内には、ロケに使われた看板などが保存されていた。

   

駅舎前左手には「美しい夏キリシマ」のロケ記念碑がある。



今の吉都線えびの駅の西隣りは京町温泉駅、東隣はえびの上江駅で
ある。国鉄時代は加久藤駅といい、両隣りは京町駅、上江駅だった。
 

●陣の池
康夫がやって来てぼんやりたたずみ、イネが自殺を図るシーンに登場するのが陣の池。
夜のシーンだったのでよく分からなかったが、明るい日差しの中で見るととても美しい池だった。
湧水によりできた池で、池の名は戦国の武将が池の近くに陣を張ったという伝説から由来する。
現在は農業用水として利用され、池から集落への水路沿いの道はいい雰囲気である。

   

陣の池全体を見る。

陣の池へむかう水路沿いの道。