シネマ紀行
 萌の朱雀(もえのすざく)
 奈良県西吉野村平雄・賀名生(あのう)・黒淵、天川村洞川温泉  2003/9/17 CAMEDIA E-100RS

  1997年 WOWWOW=バンダイビジュアル 95分
[監督]河瀬直美
[脚本]河瀬直美
[撮影]田村正毅
[音楽]茂野雅道
[出演]
國村隼 尾野真千子 和泉幸子 柴田浩太郎 神村泰代 向平和文 山口沙弥加

奈良県西吉野村。林業低迷で過疎化が進むこの村で、田原孝三(國村隼)一家も代々林業で生計を立てていた。そこに、鉄道を通すためのトンネル工事計画が持ち上がる。鉄道に対する人々の想いは切実で、孝三自身も自らの夢をかけてトンネル開通作業に携わる。

孝三の母・幸子(和泉幸子)、妻の泰代(神村泰代)、姉の残していった子供・河本栄介(少年時代、向平和文)、そして娘みちる(少女時代、山口沙弥加)に囲まれ、つつましやかだが幸せな生活は静かに過ぎていった。しかし、工事は中断され、トンネルは無惨な姿で取り残される。

やがて時は流れ、孝三は働く気力を失い、一家の生計は、栄介(柴田浩太郎)の収入に頼らざるを得なくなっていた。みちる(尾野真千子)は「えいちゃん」と兄のように慕ってきた栄介にほのかな恋心を抱き、栄介は泰代に母を重ねて想いを寄せる。ある日、孝三は愛用の8ミリカメラを持って出かけたまま帰らぬ人となった。そして、一家はそれぞれの哀しみと想いを秘めたままこの地を離れ、それぞれの生に向き合いはじめる...。
河瀬直美オフィシャルホームページより引用

 

 関連サイト
  五新鉄道
  堀家住宅

  平雄(みちるの家)

  みちるの家へ 映画の主な舞台となるのが平雄にある「みちるの家」。
県道の平雄バス停は標高約350m、みちるの家は標高約550m、標高差約200mを登ることになる。平雄バス停からみちる家の先まで舗装された道路が通じているので、車であれば10分くらいで行ける。徒歩では約50分かかる。
車は通れないがショートカットできる道があるので30分くらいで行けそうだ。機会があればまたたずねてみたい。
平雄バス停からすぐに急勾配の坂道と
なり、しばらく視界が利かない。徒歩
約20分で左側の視界が開ける。
   
さらに約15分歩くと、右手前方の山
の上に徳善寺という寺の建物が見えて
来る。このお寺は現在無住。
   
さらに徒歩約15分。徳善寺の石段の
前を進み、下りカーブを左へまがると、
前方に赤い屋根のみちるの家が見える。
   
実を言うと、行きは途中から地元の人の軽トラックに乗せていただいた。
平雄のバス停から歩いて約20分、視界が開けたところで草刈機をかついで坂道を降りてくる人に出会った。
「萌の朱雀」のロケ地へ行くと言うと、「まだかなりかかりますよ、ちょうど仕事が終ったので送ってあげましょう」
と言って軽トラックに乗せてくれ、みちるの家の前まで案内していただいた。草刈正雄さん、ご親切にありがとうございました。

   

広場から見る。左手の入口以外に、右手の庇の下にも入口があり、
家族はここからも出入りしていた。右手にはコンクリート製の水場
があり、洗顔などに使っていた。

徳善寺へ通じる山道から見る。子どもたちが登って遊んで
いた柿木、みちるがぼんやりと座っていた屋根。そして、
この家を離れる前夜、栄介とふたりで屋根の上ですごす。


かまどのある台所。
最初のシーンをはじめ度々登場する。


ラストシーン近く。栄介が庭で手紙のようなものを燃やし、
おばあちゃんが縁側に腰掛けて死んでいるように眠る。

みちるの家への道やみちるの家の周辺には、ロケに使われた場所がたくさんある。
幼いみちると栄介が手をつないで家へ帰ってくる坂道、栄介とみちるがバイクを走らせる道路などである。

  賀名生(あのう)バス停

みちるはこのバス停から五條方面行きのバスに乗り学校へ向かう。栄介は反対方向の勤め先へ向けてバイクを走らせる。
時には、朝、みちるをこのバス停までバイクに乗せ、夕方ここで待ち合わせて一緒にバイクで帰る。
     

7時18分発五條行きのバスが接近。
学生3人を含め4人が待っていた。

7時45分発専用道城戸行きが到着。
小学生1人と高校生2人が降りた。

8時3分発五條行きバスが丹生川を渡る。
茅葺き屋根は皇居と呼ばれる堀家住宅。


8時27分発のバスが走り去る。
堀家住宅は後醍醐天皇の南朝皇居跡。


バス専用道なので一般の車は通行不可。
地元の人たちにとっては絶好の散歩道。


15時2分発の五條行き。
トンネルもバス停も日が当たっていた。

  黒淵の吊り橋

この橋は家と外の世界とを結ぶ。この橋を渡って、学校へ、勤めへと出かけ、この橋を渡って家へ帰ってくる。
死を決意した父・孝三にとっては、この世とあの世との間に架かる橋だった。

   

この吊り橋は、国道168号線の南潮橋の上流に架かっている。
近くには人家が少なく、南潮橋がすぐ近くにあるので、この橋を利用する人は少ないと思う。
この吊り橋にとって、ロケに使用されたことは幸運だったことだろう。

  洞川温泉 2018/5/23 K-7

英介が働き、のちに泰代も働くことになる旅館としてロケされたのが、天川村の洞川温泉の光緑園西清。
    

光緑園西清は、館内でのロケがほとんどだった。

おとずれた日は雨、洞川温泉街は静かだった。

  ロケ地周辺

五條高等学校賀名生分校
 丘の上にある木造の校舎。
 みちるの授業風景でロケに使用された。

●五新線・宗川野鉄橋
 この大鉄橋は全く使用されていない。
 天辻峠へ通じるトンネルが見える。

●五新線・向加名生(むかいあのう)鉄橋
 この鉄橋も立派であるがバス専用道。
 今にも列車が走って来そうな感じ。

●黒淵と西吉野中学校
 水の色が黒く見えることから黒淵と呼ばれ
 ている。淵に立つ西吉野中学校は真新しい。


●黒淵の南朝三帝黒木之御所趾
 後醍醐天皇が立ち寄った所で、京を追われ
 た後村上天皇と長慶天皇が住んだ仮の御所。


●五新線のトンネル
 一度も列車が走ることがなかった五新線には
 たくさんのトンネルが残されている。