廃墟の風景

蕪島かぶらじま「四式連絡艇」基地跡

2011/9/24 PENTAX K-7
    

美しい海岸線の先に緑を頂いた赤い岩の島、ここは北九州市門司区の県道27号線大積トンネルの東方の岬にある蕪島である。
なぜここが廃墟なのか。この美しい風景を見ているとおよそ廃墟とは結びつかない。
太平洋戦争末期、本土決戦に備えて陸軍の海上特攻兵器「四式連絡艇」通称「レ艇」を格納するための洞窟が掘られた。
「レ艇」は、神風特攻や人間魚雷回天と同じように、爆薬を積んで敵艦隊に体当たりする小型船だという。
左手の大きな穴、中央と右手の窪みは、浸食によるものではなく人工の穴なのである。全部で9か所の穴が掘られているという。
一度も基地として使われることなく終戦をむかえたというが、戦争という狂気が生んだ廃墟のひとつである。
    
蕪島へは喜多久から行く。喜多久へはバスが通っている。
バス停から東へ、採石場の中を通って徒歩15分ほどである。
車であれば採石場の門前まで行き、近くの空きスペースに駐車して
10分ほど歩けば蕪島が見えてくる。
採石場は部外者立ち入り禁止なので、呼び止められたら事情を話し
て通してもらおうと思っていたが、何事もなく通過できた。
採石場の門が閉まっているときは海岸沿いを進めば辿りつける。

蕪島をたずねるには干潮のときでないと、海岸沿いを歩くのも島を
散策するのも困難である。干潮時刻を調べてから行く方がよい。
筆者が蕪島に着いたのは午後1時半だったが、この日の干潮時刻は
午後1時だった。

喜多久から南へ柄杓田漁港への途中には、もじ少年自然の家がある。前には遠浅の海が広がっている。南には、権七岩や岳ノ鼻の岩が見
える。余り音がしない静かな環境なので、ぼんやり海を眺めている
と穏やかな気持ちになり、平和の有り難さを実感する。
   

岩山のように見える砕石の堆積場。
    

近づいて見ると、洞窟は島の高さの半分くらいである。

コンクリートの仕切りがあり、穴は貫通していてむこうが見える。
    
穴の反対側にはコンクリートの破片が散乱していて、その上にコンクリートの仕切りがある。中には水がたまっていた。
    

船を引き揚げるためのウインチの跡。

少し離れたところにコンクリートの塊。当時のものだろうか。
    

もじ少年自然の家前の海岸。磯で波と戯れるひと、カヌーを楽しむひと、むこうには権七岩(左)と岳ノ鼻の岩(右)が見える。
   
北側から行ってみた。 2012/5/17 K20D
白野江から県道を南下し、大積トンネル前で左折して海岸沿いの道を行く。700mくらい進むと採石場のゲートらしきものがある。
手前の空き地に車を停めて少し歩くと前方に蕪島が見えて来る。

県道からすぐの所に咲いていた薄紅色の花。
    

浜昼顔だろうか。

採石場の入口。
    

北側は逆光気味であるが、岩穴がいくつか見える。手前の陸地の岩にも、当時の遺構と思われる穴と構築物の一部が残っていた。
    

コンクリートの構築物。

10mくらいの奥行きの岩穴。

廃墟の風景