万葉の旅

明日香川

10/3/25,27
PENTAX K-7/17-70
                                  
明日香川 明日も渡らむ 石橋の 遠き心は 思ほえぬかも
巻11−270
明日香川の石橋を明日も渡って逢いに行きましょう。
あなたに対して遠く離れた気持ちなど持っていません。



明日香川は現在の飛鳥川。稲渕の集落にある「飛び石」という標柱から
川にむかって下ってゆくと、川の中に小さな石が並べてある。飛び石の
近くには歌碑がたてられていた。

この飛び石は古代石造物の一つとされているが、それが事実であれば、
1300年くらいを経ている。今ある姿が古代のままではないにしても
代々修復されながら受け継がれたものであろう。

万葉人がこの飛び石を渡ったかと思うとロマンがある。
                           
飛鳥稲渕宮跡
明日香川 七瀬の淀に 住む鳥も 心あれこそ 波立てざらめ

巻7−1366
明日香川の七瀬の淀に住んでいる鳥も、心があるからこそ波を立てずにじっとしているのでしょう。
                                                                    

史跡「飛鳥稲渕宮跡」。後方には、棚田百選「稲渕の棚田」がある。

歌碑と副碑。

歌碑は万葉学者・犬養孝先生の揮毫。

副碑には歌とその訳。
                           
玉藻橋
明日香川 瀬々せぜに玉藻は 生ひたれど しがらみあれば 靡なびきあはなくに
巻7−1380
明日香川の瀬々には美しい藻がはえているが、しがらみがあるので靡き合わないでいる。
                                              

飛鳥稲渕宮跡の少し下流、明日香川にかかる玉藻橋。

玉藻橋たもとの歌碑。橋名は万葉の歌に由来している。
                          
飛鳥橋北
明日香川 しがらみ渡し 塞かませば 流るる水も のどにかあらまし
柿本人麻呂 巻2−197
明日香川にしがらみをかけ渡してせきとめんとしたら、流れる水もゆったりしているだろうに。

右に飛鳥川が流れていて、正面の小さな祠の中に弥勒石が祀られている。

謎の石造物「弥勒石」
                        
甘樫橋東
今日もかも 明日香の川の 夕さらず かはづ鳴く瀬の さやけくあるらむ
上古麻呂 巻3−356
今日もまた明日香川は夕方になると、カジカカエルが鳴く瀬が清やかなことだろう。

県道そばの歌碑は犬養孝先生の揮毫。

歌碑の近くにある飛鳥川にかかる甘樫橋の道標。
                      
飛鳥寺
明日香川 川淀さらず 立つ霧の 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに
山部赤人 巻3−325
明日香川の川淀にいつも立ち込めている霧のように、
はかなく忘れ去られるような恋ではありません。



飛鳥寺の門をくぐって左手に歌碑がある。歌碑は2基あり、「明日香川」の歌碑は奥の
小さな歌碑で、手前の大きな歌碑には長歌が刻まれている。佐々木信綱氏の揮毫。
三諸みもろの神奈備山に 五百枝いほえさし繁しじに生いたる 栂の木のいや継ぎ継ぎに 玉葛絶ゆることなく ありつつもやまず通はむ 明日香の古き都は 山高み川とほしろし 春の日は山し見が欲し 秋の夜は川しさやけし 朝雲に鶴は乱る 夕霧にかはずは騒ぐ 見るごとに音のみし泣かゆ いにしへ思へば
山部赤人 巻3−324
 
                       
●橘寺東飛鳥川沿い 2013/11/13 PENTAX K-7

日香川 瀬々の玉藻の うち靡なび
心は妹に 寄りにけるかも
巻13−3267

明日香川の瀬々の玉藻のなびくように、
私の心は妹にすっかりなびき寄ってしまった。