万葉の旅

布勢の海

09/4/13,4/15
K10D
                                   

もののふの 八十伴やそともの 思ふどち 心らむと 馬めて うちくちぶりの 白波の 荒磯ありそに寄する
渋谿
しぶたにの もとほり 麻都太江まつだえの 長浜過ぎて 宇奈比川 清き瀬ごとに 鵜川立ち かきかく
見つれども そこもかにと 布勢
ふせの海に 舟浮けゑて 沖辺おきへぎ に漕ぎ見れば なぎさには あぢ群騒むらさわ
島みには 木末
こぬれ花咲き ここばくも 見のさやけきか 玉櫛笥たまくしげ 二上山に つたの きは別れず
ありひ いや年のはに 思ふどち かくし遊ばむ 今も見るごと
巻17−3991

の海の つ白波 ありがよひ いや年のはに 見つつしのはむ
大伴家持 巻17−3992
布勢の海の沖に立つ白波のように、ずっと通い続けて毎年この眺めを見て愛でよう。
                                          


万葉時代、氷見市西南部には布勢の海という湖があった。
その一部が十二町潟として残っている。

十二町潟水郷公園内万葉植物園の「布勢の海の〜」の歌碑。
犬養孝先生の揮毫。
                                          
大伴家持は、国府のある伏木から二上山を越えて、布勢の海あたりを逍遥し歌を詠んだ。
                            
明日の日の 布勢の浦みの 藤波に けだし来鳴かず 散らしてむかも
大伴家持 巻18−4043

明日眺めようとしている布勢の浦辺りの藤の花に、ホトトギスが来て鳴かないでほしい。
せっかくの花を散らしてしまうかも知れないから。


かつて布勢の丸山という布勢の海に浮かぶ島だったという丘陵にある布勢神社、
その境内にある「明日の日の〜」の歌碑。

                    布勢神社の大伴家持卿遊覧之地碑→
                          

海浜植物園の「万葉故地・麻都太要能奈我波麻」の碑。

現在の松田江の長浜。
                                    
の 影なす海の 底きよ
しづく石をも 玉とぞ我が見る
大伴家持 巻19−4199

藤の花が影を映している海の底までが清く澄んで
いるので、沈んでいる石も真珠だと私は見てしまう。

田子浦藤波神社社殿裏の歌碑。
                              
たこ 暗茂くれしげに ほととぎす
来鳴き
とよめば はだ恋ひめやも
大伴家持 巻18−4051
多胡の崎の木の暗い茂みに、ホトトギスが来て鳴いてくれたら
こんなにも恋い慕うことなどないのに。




←国泰寺入口の万葉歌碑。
  田子浦藤波神社の同じタイプの歌碑。