万葉の旅

伊香保

10/10/25
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                     伊香保温泉から榛名湖へ行く坂道の途中にある高根展望台からの眺望。右下の赤い屋根のあたりが伊香保温泉。

万葉集巻14に収められているのは230首ほど、うち25首が上野の歌で、そのうち9首が伊香保の歌である。

伊香保ろに 天雲い継ぎ かぬまづく 人とおたはふ いざ寝しめとら
巻14−3409

伊香保ろに 沿ひの榛原 ねもころに 奥をなかねそ まさかしよかば
巻14−3410

伊香保ろの 夜左可(やさか)のゐでに 立つ虹の 現はろまでも さ寝をさ寝てば
巻14−3414
伊香保の高い堰堤にたつ虹のように、はっきり人目につくほどに一緒に寝ていたらどんなに楽しい事だろう。


 
伊香保温泉の石段街を登り切った先に伊香保神社があり、境内に3414番の歌碑がある。


同じ歌の歌碑が水沢観音の山門側の駐車場付近にある。こちらは万葉仮名で刻まれている。

上つ毛野 伊香保の沼に 植ゑ小水葱 かく恋ひむとや 種求めけむ

巻14−3415
上野の伊香保の沼に植えたこなぎよ、こんなに恋に苦しむのなら種を植えるのではなかった。

伊香保温泉露天風呂「温泉飲料所」そばの歌碑。向こうに見えるのは飲料所の建物。


伊香保せよ 奈可中次下 思ひどろ くまこそしつと 忘れせなふも
巻14−3419
伊香保にいる背の君よ、わたしの妹に思いをかけているようですが
わたしと一緒に寝たことを決して忘れないですからね。


伊香保温泉入口の三叉路に立っている3419番歌碑。

伊香保嶺に 雷な鳴りそね 我が上には 故はなけども 子らによりてぞ
巻14−3421
伊香保の山の雷よ、鳴らないでほしい。私は気にならないが、いとしいあの娘が怖がるから。

水沢寺山門前の歌碑。

伊香保風 吹く日吹かぬ日 ありと言へど 我が恋のみし 時なかりけり
巻14−3422
伊香保おろしは吹く日も吹かぬ日もあるというが、わたしの恋の想いは絶えることがない。
 
旧ハワイ公使別邸近くに3422番の歌碑があるが、字が読みにくい。

上つ毛野 伊香保の嶺ろに 降ろ雪の 行き過ぎかてぬ 妹が家のあたり
巻14−3423

伊香保ろの 沿ひの榛原 我が衣に 着きよらしもよ ひたへと思へば
巻14−3435