万葉の旅

韓亭からとまり

08/5/21
*istD


韓亭、現在の唐泊の東林寺から能古島を見る。唐泊は1300年前の遣新羅使の時代から続く港。

万葉集には、韓亭で詠まれた遣新羅使の歌が6首ある。
博多の荒津の浜を出発したが海が荒れて、韓亭で3日間停泊したときの歌である。

筑前つくしのみちのくちの国の志麻こほり韓亭からとまりに至り、船泊ふなどまりして三日を経ぬ。時に夜月の光、かうかうとして流照りうせうす。
たちまちにこの
くわに対し、旅情悽噎せいいつす。
おのもおのも心緒おもひべ、いささかにつくる歌六首

大君おほきみの とほ朝廷みかどと 思へれど 長くしあれば 恋ひにけるかも 巻15−3668

旅にあれど よる火燈し れを にやが 恋ひつつあるらむ 巻15−3669

 能許の浦波 立たぬ日は あれども家に 恋ひぬ日はなし 巻15−3670

ぬばたまの 渡る月に あらませば 家なる妹に 逢ひてまし 巻15−3671

ひさかたの 月は照りたり いとまなく 海人あまいさりは し合へりみゆ 巻15−3672

風吹けば 沖つ白波 かしこみと 能許の亭とまりに 数多あまたそ寝巻15−3673


唐泊地域漁村センター玄関の歌碑。韓亭で詠まれた6首が刻まれている。
唐泊の高台に臨済宗の東林寺がある。臨済宗
の開祖栄西ゆかりの寺で、ここに歌碑がある。
能許の浦波 立たぬ日は あれども家に
恋ひぬ日はなし
 巻15−3670
韓亭の近くの能古島に波の立たない日はあっても、
家を恋しく思わない日はない。



栄西禅師の座禅石像。


歌碑のむこうに能古島が見える。