山頭火と歩く

玖珠から耶馬溪へ

2001.11.16
CAMEDIA E-100RS


 ■昭和5年11月14日
 霧。霜。曇。

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古い家が残る森町の町並み。

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末広神社、境内一面にイチョウの落ち葉。
末広神社に詣って九州アルプスを見渡した風景はよかった。町に中に森あり原あり、家あり、石あり、そこがいい。岩扇山といふはおもしろい姿だ。頂上の平べったい岩が扇を開いたやうな形をしてゐる、耶馬溪の風景のプロローグだ、私は奇勝とか奇岩とかいはれるものは好かないが、此の山は眺めて悪くない。

   おべんたうをひらく落葉ちりくる

   大銀杏散りつくしたる大空

   歩いても眺めても知らない顔ばかり

   鉄鉢、散りくる葉をうけた

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末広神社から周囲の風景はほとんど見えない。
坂道の途中の木の間から岩扇山が見えた。

 ■昭和5年11月15日 晴。

kusuyaba-yabakei.jpg (220053 バイト) 七時半出立、草鞋の工合もよい、巻煙草をふかしながら、ゆったりした歩調で歩む、岩扇山を右に見てツイキの洞門まで一里、ここから道は下りとなって耶馬溪の風景が歩々に展開されるのである。

三里下って柿坂へついたのが一時半、次の耶馬溪駅へ出て汽車に乗る。

 山を観るけふいちにちは笠をかぶらず

 その木は枯れてゐる蔦紅葉

 けふのべんたうは岩のうへにて
山頭火は、現在県道が通じている玖珠から本耶馬溪町柿坂への道を歩いたのであろう。
この道には、一目八景という紅葉の名所がある。山頭火が歩いた日も、紅葉が美しかったことだろう。