山頭火と歩く

善光寺

2017/10/27 K-5Us
           
五月廿八日 

街をまつすぐにいよいよ善光寺である(途中郵便局でKからの手紙を受取つた、すまないすまないありがたいありがたい)。
長野の善光寺か、善光寺の長野かといはれるほどであつて、善光寺はまことにうれしい寺院である。
お開帳がすんだばかりで、まだその名残がある。
八百屋お七物語の吉三郎建立と伝へる濡仏がある。大勧進大本願の建物は、両者の勢力争を示さないでもない。
山門も本堂もがつちりとして荘麗といふ外はない(何と鳩、いや燕の多いことよ)。

それにしても参道の両側の土産物店の並んでゐること、そしてその品々の月並なこと。
帰途紅葉城君の御馳走で
やぶといふ蕎麦中心の料理屋へ寄つた。座敷も庭園も蕎麦も料理も悪くなかつた、私にはよすぎるよさだつた、
紅君とは別れて北君と二人で入浴して帰宅して安眠した。

山頭火が書いているように、善光寺は長野駅から真北へまっすぐな道である。
途中の郵便局で手紙を受け取ったとあるが、おそらく現金書留であろう。
山頭火の時代のイメージに近いのが善光寺郵便局。現在の建物は、昭和7年建造の五明館という旅館が使用されている。


2階建ての善光寺郵便局。


参道の両側にはみやげもの店が並んでいる。


山門。


本堂。

東側から本堂へと続く道があり、井上井月、夏目漱石、小林一茶の句碑と並んで、山頭火の句碑がある。
八重ざくらうつくしくして 南無観世音菩薩像   すぐそこでしたしや 信濃路のかっこう


歌碑が並んでいる東側の参道。
      

井上井月句碑。
思ひよらぬ梅の花見て善光寺
蝶に気のほぐれて杖の軽さかな

夏目漱石句碑。
生きて仰ぐ 空の高さよ 赤蜻蛉

    

小林一茶句碑。
春風や牛に引かれて善光寺
開帳に逢ふや雀も親子連


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