四国札所の石仏

遍路道の道標と石仏(12)

 種間寺、大窪道、竹林寺、土佐国分寺、八栗道、八坂寺

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おどけ顔のお地蔵さん

 第三十四番札所種間寺の印象は、境内の供養仏である。境内に
所狭しとたくさんの供養仏が安置されている。供養仏はほとんど
が地蔵で、帽子をかぶったり前掛けをしたりして、様々な表情を
している。

 そんな中に、少し大きめで、ちょっとおどけた表情をしたお地
蔵さんに出会った。手を重ね、穏やかなまなざしで前を見ている。
そんなに急いでどこへ行くの、と言っているように見えた。

              『へんろ』2002年4月号



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大窪道の青面金剛

 第八十八番札所大窪寺への遍路道には、様々な石仏が立ってい
る。長尾町横川には、造形的に素晴らしい青面金剛の庚申塔があ
り、道路より一段低い所の、ブロックのほこらに安置されている。

 
六本の腕を持つ青面金剛で、剣や弓などを手にしている。文化
九年(一八一二)の銘があるので、やがて造立後二百年になる。
長い道中の最後の遍路道で、数多くのお遍路さんたちが目にした
ことだろう。

              『へんろ』2002年5月号







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竹林寺の五智如来

 第三十一番札所竹林寺は高知市の五台山にある。昔はロープウ
ェイがあったらしいが、今は、山上まで車道がのびている。

 仁王門をくぐると広場で、左に大師堂、右に本堂があり、広場
から見上げると五重塔が目に入る。高知県を代表する堂々たる伽
藍配置の寺院である。

 五重塔の左手に竹林寺を代表する石仏・五智如来がある。かな
り大きな石像で、端整な顔立ちをしていて、カラフルな布が首に
かけられていた。

              『へんろ』2002年6月号

 


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四国最古のへんろ石

 第二十九番札所国分寺は南国市にあり、「土佐日記」の紀貫之
が土佐国守として五年間をすごした国府跡もすぐ近くにある。参
道の正面に本堂の観音堂、左手に大師堂がある。木々に囲まれた
境内はとても静かだ。


 大師堂の左手に、自然石に刻まれたへんろ石が保存されていた。
「これよりみきへんろみち元禄二年三月二十日」の銘があり、造
立から三○○年を超え、現存する四国最古のへんろ石である。

              『へんろ』2002年7月号

 後日、「もっと古いへんろ石がある」という電話が、編集部
 へ入ったとのこと。それによれば、高知県室戸市のものは貞
 享2年2月、第47番八坂寺近くの土用部池下のものは貞享
 2年3月に建立されたものであるという。 元禄2年は1689年、貞享2年は1685年。4年古いへんろ石である。


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八栗道の如来さん

 第八十五番八栗寺へはケーブルカーがあるが、左手の道をぜひ
歩きたい。本堂まではゆっくり歩いても三十分以内で行ける。

 道ぞいには草もちを売る店があり、たくさんの道標や石仏が出
迎えてくれる。それらをながめながらのんびりと歩きたい。

 道の中ほどの笹薮の中に、高い台座の上で瞑想する如来さんに
出会った。台が二段で、蓮の花の上で印を結んでいる。穏やかな
いいお顔の如来さんである。

              『へんろ』2002年8月号
     


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念ずれば花ひらく

 坂村真民さんの詩に出会ったのは十八年くらい前である。自選
坂村真民詩集の中にあった「二度とない人生だから」という詩だ
った。


 真民さんの言葉で、よ
く知られているのが「念ずれば花ひらく」
である。この言葉が刻まれた石碑を何か所かで見たが、第四十七
番札所八坂寺にもある。

 おとずれた日は、どんよりと曇った冬の日の朝で、境内には人
影がなく、石碑の文字だけが白く浮かびあがっていた。


              『へんろ』2002年9月号