四国札所の石仏 遍路道の道標と石仏(6) 宝寿寺・白峰寺・星が森峠・延命寺

sikoku-hohjyuji.jpg (84142 バイト) 宝寿寺の道標

 なぜ、これほどまでに、石の道標に心ひかれるのであろうか。

 石の道標は野ざらしである。多くの遍路たちが、この道標を
見て札所までの距離を刻んだ。そして、今わたしもその道標を
見ている。この感慨が、石の道標へとわたしをひきつける。

 石の道標に代わって、建設省の道路標識、へんろみち保存協
力会のみちしるべなど、様々な道標が設置されている。

 愛媛県小松町の第六十二番札所宝寿寺の門前には、役割を終
えた道標が保存されていて、風雪に耐えた味わいがある。

 最近、お堂建設のために門が撤去されたが、石の道標は健在
である。
             
『へんろ』1999年10月号

sikoku-siromine.jpg (91626 バイト)  白峰寺参道の千手観音

 香川県北部の標高約四百メートルの五色台に、第八十一番札
所白峰寺があり、登山道の所々からは瀬戸内海が見える。

 参道の手前と門前に駐車場があるが、参道の手前で降りて歩
くことにした。この参道では、三十三観音の石仏に出会える。

 観音石仏は、参道の右、木立の下の草むらに立っている。日
当たりが悪く、どの石仏も草が絡まっていて、まさに野仏の風
情である。

 わたしが目にした千手観音も、青草の匂いのする雑草の中で
蔦に絡まっていた。正面で手を合わせ、五本の腕を広げている。
全体的に稚拙な彫りではあるが、どこか童画的でほほえましい。

             『へんろ』1999年11月号

sikoku-hosigamori.jpg (74307 バイト) 星が森峠の石仏

 第六十番札所横峰寺は、石鎚山の遥拝所として開設されたこ
とから、石鉄山という山号が付けられている。

 車の場合は裏側から入ることになるので、山門をくぐらずに
本堂に達する。香園寺からの昔ながらの遍路道が表で、こちら
側に山門がある。

 山門の少し手前に右に登る道があり、しばらく行くと、鉄の
鳥居が立つ星が森峠に達する。真正面には石鎚山の全容が望ま
れる。ここが石鎚山遥拝所で、青年空海が足跡を残した聖地で
ある。

 右側には祠があり、小石仏が安置されている。杉の木の前に、
二体の石仏が明るい秋の陽射しを受けて立っていた。

             『へんろ』1999年12月号

sikoku-enmeiji.jpg (82910 バイト) 真念の遍路道標

 今治市の第五十四番札所延命寺へは、松山市の第五十三番札
所円明寺から、左手に瀬戸内の美しい海を見ながら約三十五キ
ロの旅である。

 この地域は、四国で最もキリシタンの多かった所で、円明寺
には、マリア像を刻んだ石塔が残っていて、キリシタン哀史を
しのばせてくれる。

 今治市はタオルの産地、延命寺の境内でもタオルを販売して
いる。売店の向かい、土塀のそばに、真念の小さな道標が立っ
ていた。真念は江戸初期の僧で、遍路の案内書を出し、道標や
通夜堂を建てて、遍路を助けた。

 道標の文字は三百年の歳月を経てもなお、はっきりと読み取
れる。
              『へんろ』2000年1月号

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