四国札所の石仏 遍路道の道標と石仏(8) 市場町・三角寺・高知県田野町・切幡寺


sikoku-itiba.jpg (82110 バイト)素朴なへんろ自然石

 第十番札所切幡寺から第十一番札所藤井寺までは約十キロ。
その中間より少し手前の市場町八幡あたりでは、第十一番札
所への方角や距離をしめすへんろ石を数多く見かける。

 第一番札所霊山寺を出発した時刻と歩く速さによって異な
るが、このあたりにさしかかるのは、二日目か三日目であろ
う。歩きにも少し慣れてきた頃である。

 市場町には、有名な中務茂兵衛のへんろ石をはじめとして
様々な形のへんろ石が残っている。その中で自然石に刻まれ
た素朴なへんろ石が目に付いた。上部に方角をしめす手、そ
の下に「十一ばん」と刻んだだけのものである。

        
                                     『へんろ』2000年6月号

sikoku-sankakuji2.jpg (82882 バイト)木漏れ日浴びている如来

 第六十五番札所三角寺には風情のある石仏が多く、急な石
段を駆け上がって石仏に会うまでの時間が楽しみである。

 本堂の左手には、小ぶりではあるが表情のいい石仏が並ん
でいる。大師堂の右手にも小石仏があり、その先には台座が
付いたやや大きな石仏が並んでいる。

 ある日の夕方、正面の石段を上り本堂と大師堂にお参りし
て、大師堂右手から三角寺の裏へ抜ける道を歩いた。

 空は晴れているが、木々が多いため、石仏は日陰になって
いるものが多い。その中で、木漏れ日を浴びている如来に出
会った。如来には右肩から斜めに日が差していて、神々しか
った。
                                              『へんろ』2000年7月号

sikoku-nabari.jpg (70085 バイト)ひっそりと手ざし石

 第二十六番札所金剛頂寺から第二十七番札所神峰寺までは
約30キロ。安田町の神峰寺入口から5キロほど手前の田野
町の旧道には、ちょっと変わったへんろ石がある。

 「肥前五嶋福江川のや政吉、此手四国中へ何百有之ミなへ
んろ道」と刻まれている。このへんろ石は、特定の方角や距
離を示すものではなく、四国内に手を広げた象徴的なもので
ある。長崎から巡礼にきた政吉という人が、記念に建立した
ものであろう。

 今、お遍路さんは国道を通るので、旧道にあるこのへんろ
石を目にすることはない。今日も南国の陽射しを受けて、あ
の辻にひっそりとたたずんでいることだろう。

                                              『へんろ』2000年8月号

sikoku-kirihata2.jpg (84113 バイト)切幡寺の阿弥陀如来

 四国には至るところに石仏があり、どこへ行っても見かけ
るのが地蔵菩薩である。次に多いのが観音菩薩で、如意輪観
音をはじめ様々な表情の観音に出会える。しかし、阿弥陀仏
に出会うのはまれである。

 第十番札所切幡寺の山門を進むと石段があり、石段を登る
と、参道はさらに右へ登る石段へと続く。ここには水場があ
り、その横に大きな青石に浮き彫りにされた阿弥陀如来像が
立っている。忠魂碑だそうだ。

 それにしても、なんと見事な石像であろうか。建造年代は
新しいものであろうが、木洩れ日を浴びて青く浮かび上がる
姿は、荘厳で実に美しい。

             『へんろ』2000年9月号

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