滝紀行

滝本渓谷

 和歌山県新宮市 06/10/17 *istD
 国道168号線の熊野川温泉付近から南西へ県道44号線を約20km。

今回、紀伊半島の滝をたずねるにあたり、沢靴を購入した。インターネットに掲載されている滝の情報によれば、沢の中を歩かないと到達できない滝が多く、ネットで知り合った方からも沢靴をすすめられた。結果的には、沢靴のお陰で大変助かった。

沢靴を最初に試したのが新宮市の滝本渓谷である。滝本は山深いところで、熊野川へ流れ込む赤木川の支流・小口川の上流部。小口川は滝本の集落で南北に分岐し、北谷と南谷の二つの渓谷を形成している。この二つの渓谷に滝がある。

その日は、道の駅「瀞峡街道熊野川」に宿泊し、6時すぎに出発した。熊野古道の大雲取り越えや小雲取り越えがある小口の集落までは2車線の快適な道路であるが、小口から先は道が狭くなる。川沿いの道を対向車を気にしながらゆっくりと進む。やがて川から離れカーブの多い山道を登っているときに車に異変が起きた。左前輪のパンクである。とがった石に乗り上げたようだ。このあたりは落石が多い。

空き地に車を止め、応急用タイヤに取り替えるため車輪のナットをはずそうとしたが、レンチのサイズが合わない。ケイタイは圏外。そこへ軽トラックがやって来た。老夫婦で時間に余裕がないらしく、もうすぐ巡回バスがやって来るので、相談してみたらどうかという。

10分ほどで小型のバスがやって来た。レンチがアルミホイール用ではないので合わないのだという。JAFを呼ぶしかない。公衆電話のあるところまで乗せて行ってもらうことにした。鎌塚集会所の前の公衆電話だった。電話機の赤いランプが消えていて、カードが使えない。財布には500円玉しかない。集会所の横の家で両替してもらい、JAFへ連絡をとった。

JAFが到着しタイヤの交換が終ったのが9時半近くだった。気を取り直し、山側の落石に注意しながら滝本の南谷へ向かった。前途多難を予想させるタイヤのパンクだったが、南谷の宝竜滝・野乃滝、北谷の筆藪の滝・猿手の滝・部屋の滝を見ることができた。

この日の午後は十津川の熊野古道・果無峠を歩く予定だったが、時間が中途半端となったため、新宮市でタイヤ交換し、地域限定の先行封切映画『幸福(しあわせ)のスイッチ』を観た。午後3時ということもあり、観客は筆者ひとりだった。  

 
 滝本北谷。むこうに部屋の滝が見えている。

●滝本南谷

県道に、宝竜滝と野乃滝の立派な看板が出ている。左折して林道を500mほど進む。駐車場があるはずだが、がけ崩れがあったらしく、あたりには大きな石が転がっている。危険なので立ち入らないように看板も出ている。どうしたものかと思ったが、身支度を整えて先へ進んだ。

5分ほど歩くと、谷が二手に分かれていて、左前方に宝竜の滝が見えて来た。岩の上にかかっている鉄板の橋を渡って近づいてみる。滝つぼが美しい。滝は2段 で下段が落差約50m、上段が30mだそうだが、上段はほとんど見えない。

元に戻り、右手の谷をゆく。野乃滝への標識はないが、インターネットの情報によれば、右手の方向である。5分ほどで木の間隠れに 落差約70mの野乃滝が見えて来た。大きな岩が転がっていて道はない。全体が何とか見えそうな所まで進んで撮影したが、 もう少し奥まで行くべきだった。


宝竜の滝。
   

宝竜の滝。

野乃滝。

●滝本北谷

県道を500mほど北へ戻り右折する。 林道を1kmくらい進むと行き止まりで、駐車スペースになっている。筆藪の滝の水音が聞こえている。歩き始めてすぐに筆藪の滝。落差約12mだそうだが、滝の大きさに比べて大きな滝つぼがあり、小さいながら風情のある滝だ。

これから先はっきりとした道はないが、踏み跡や丸太の橋などを手ががりに進む。筆藪の滝から20分ほどで左手に落差約20mの猿手の滝が見えて来る。滝の前は大きな岩がゴロゴロしていて、岩を乗り越えて進む。猿手の滝の右脇に道があり、この道を登ってゆくと、部屋の滝の上に出て、けやき原の滝、屏風の滝に達するという。猿手の滝から少し戻り、5分ほどで落差約15mの部屋の滝へ。その名の通り、三方を崖に囲まれた部屋のような空間の一角から滝が流れ落ちている。


猿手の滝。
   

筆藪の滝。

猿手の滝。


部屋の滝。


滝を見にゆく