福江島での撮影を終え、愛車と共にフェリーで奈留島へ渡る。島へ渡るときはいつも緊張する。目的の島影が遠くに見え、船が港に近づくにつれ島の風景がはっきりと確認できるようになる。船は、赤灯台の辺りで汽笛を鳴らして港へ入って行く。船を降りて陸に上がると、これから向かう天主堂と天主堂をとりまく風景を思い描く。
奈留港から北西へ、曲がりくねった海沿いの狭い道を走ること約20分、奈留町大串郷の青い海に面した小さな小学校の横に、鉄川与助が大正7年に建てたロマネスク様式の木造天主堂がある。
日曜日の昼下がり、校庭には子供たちの姿はなく、通りにも人影は見えない。主要な道路にはバスが運行されているので、島の中心部の奈留港までは30分くらいで行ける。中学と高校は奈留港近くにあるから、江上の子供たちは、毎日この美しい海を見ながらバスで通っているのであろう。 |