天主堂巡礼 頭ヶ島天主堂  長崎県新上五島町/国指定

   
花の聖堂

頭ヶ島は五島空港の開設により橋で結ばれたが、島民は、今も、昔ながらの生活を守り続けている。県道から見ると、一方を海に三方を急斜面に囲まれた谷の底に、20戸ほどの白浜の集落があり、山側の野菜畑のそぼに天主堂のドームが見える。

海に向かって右手には墓地があり、石のクルスが陽を受けて鈍く光つている。墓地のすぐ先が海で、風が運んでくる砂で墓石が埋もれかかっている。海岸から、人影のないひっそりとした集落の中の路地を抜けると、石段の先に天主堂の入口が見えてくる。

堂内は明るく開放的で、玄関から祭壇までよく清掃されていて、この天主堂で祈りを捧げる人々の愛情が感じられる。広さは33坪ほどであるから、会堂としては小さい。したがって、柱はなく平天井で、軒下にはベルト状の装飾が施されている。ベルトから天井にかけては、花模様が刻まれていて、花の聖堂とでも名付けたいような可憐な聖堂である。

頭ヶ島天主堂は日本唯−の石造り天主堂であるが、大崎神父の指導のもと、9年の歳月をかけて完成し大正8年に献堂された。信徒は、天主堂建設に全財産を投じ全員で労働奉仕をしたが、労働奉仕に出るために収入を絶たれ、食うにも因る有様で、工事は何度も中断したという。西海の島々に今も残る天主堂は、頭ヶ島と同様な苦難の末に建てられたものが多い。天主堂は信徒の血と汗の結晶だからこそ、清楚な美しさを見せてくれるのかもしれない。
   

 
   

   
07/10/16 *istDS2,K10D

   
   

[天主堂巡礼]