天主堂巡礼 馬込(まごめ)天主堂 長崎県伊王島町沖ノ島


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                     滅びゆく風景

  長崎港を出た船は、旧大浦天主堂を左手に見ながら狭い湾内を進む。造船所のあたりは、行き
 交う船で混雑が激しい。やがて、殉教の地・高鉾島の向こうに、神ノ島天主堂の白い建物が見え
 てくる。ドンク岩に立つ「岬の聖母」像近くを通過して、湾外に出る。西に向かうと五島列島の
 福江島に至るが、伊王島へはそのまま南下する航路をとる。

  『男はつらいよ』でおなじみの山田洋次監督が昭和45年に制作した秀作『家族』は、伊王島
 に住むカトリツク教徒の家族が、閉山間近かの炭鉱を追われ、新天地を求めて高度経済成長期の
 日本列島を北海道の農場へと向かう物語である。

  慌しい時代背景の中で、夫婦と子供2人そして舅の5人が、数々の苦難に遭遇しながら身も心
 もポロポロになつてゆ<。まだ貧しかつたころの日本と必死に生きている日本人の姿を、当時の
 日本の風景と共に描いている。プロローグを飾る美しい伊王島の風景が印象に残る映画であつた。

  天主堂は港から左手の道を海岸ぞいに10分のところにある。時折、人が通るものの、魚の干
 物がぶらさがっていたりして、辺りは漁村のたたずまいを見せている。しかし、目を転じると近
 代的な構築物があちこちに立つていて、映画『家族』のころの伊王島の風景は次第に失われつつ
 ある。

  道路から見上げると、中央に高い培を持ち、両側に2本ずつやや低い塔がそびえている。石段
 を上がって、堂内に入る。天井はリブ・ヴォ一ルトで色も明るく、リブの結束点には花模様の彫
 刻ではなく「天主堂」の文字が見える。大天使聖ミカエルに捧げられた祭壇は堂々としていて、
 祭壇背後にある薔薇窓のステンドグラスも美しい。

  西海地域の天主堂は海を見下ろす高台に建てられている場合が多いが、丘の上から、馬込天主
 堂の尖塔越しに見る海の眺めは素晴らしい。


1991/12/14




約12年ぶりにたずねた。カメラがフィルムからデジタルへ移行しつつある時期だった。2004/1/20 E-100RS
フィルムをスキャンした画像に比べると、デジタルの方が画像が鮮明である。



さらに、約11年ぶりにたずねた。伊王島は伊王島大橋でつながっていた。
橋を渡りきると、馬込天主堂が曇り空をバックに日差しを受けて輝いていた。 2014/12/14 K-7


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