天主堂巡礼 出津天主堂/黒崎天主堂  長崎市外海町

   
神の沈黙

遠藤周作氏の『沈黙』を初めて読んだのは、昭和41年のことであつた。遠藤氏は、長崎で見た一枚の踏絵をヒントに作品づくりを行ったという。「道を歩いている時や仕事をしている時、あの薄暗い16番館の片隅でひつそりと置かれていた踏絵とその黒い足指の痕とが記憶の閾(しきみ)の下から水の泡のように浮かんできた」と、『切支丹の里』に書いている。

小説『沈黙』は、1639年5月、マカオからポルトガルヘ宛てた「主の平安。基督の栄光」という書さ出しのセパスチャン・ロドリコ司祭の書簡で始まり、「たとえあの人は沈黙していたとしても、私の今日までの人生があの人について語っていた」というロドリコの言葉で終わる。司祭ロドリコの背教に至るまでの苦悩を描きながら、「神は決して沈黙せす、一緒に苦しんでいるのだ。そして、背教の瞬間にこそ、神は沈黙を破り語リかける」という神の実在を、読む者に問いかけてくる。

遠藤氏が『沈黙』の舞台として選んだ外海町には、「人間がこんなに哀しいのに、主よ、海があまりに碧いのです」と岩に刻まれた「沈黙の碑」が立っている。近くには、長崎県指定文化財の出津(しつ)天主堂や大野天主堂そしてド・□神父記念館などがあり、出津文化村を形成している。住民たちから「ド・ロさま」と慕われたマルコ・マリ・ド・□神父は、28歳で来日し、38歳の壮年期から71歳の老年期までの33年間を外海の村おこしに捧げた。 
   
 
  ツツジ咲く出津の里(出津天主堂)                 出津天主堂入口

小春日和(黒崎天主堂)
   
07/10/21 *istD  出津天主堂

黒崎天主堂

   

   

   
   

[天主堂巡礼]