天主堂巡礼
雪の聖母聖堂(旧大名町天主堂)
福岡県久留米市津福本町
オルガンの音
最初に雪の聖母聖堂をたずねたのは、熊本市の繁華街にある手取天主堂を撮影しての帰りに、場所だけでも確認しておこうと立ち寄ったときだった。
天主堂のある聖マリア病院は、想像していたものよりも広く、天主堂は暗闇の中で南に向かって立っていた。中からは薄明かりがもれ、パイプオルガンの音が響いていた。
2度目は、天主堂の方角からステンドグラスの光の角度を推定し、よく晴れた冬の朝、再びたずねた。その日もオルガンの音が流れていた。西側の扉をそっと開けると、オルガンの主は白衣の女性だった。
この聖堂は、福岡市大名町教会第3代司祭・フランス人ベレール神父の設計によるが、初期の天主堂らしく外観は極めてシンプルで、鐘楼や塔は付いていない。
8万個に及ぶ煉瓦はところどころ剥げていたりして、風雪を刻んだ味わいがある。入口付近には楽廊が設けられていたが、移築の際に取り外されたのであろう。
正面のバラ窓や祭壇の高窓のステンドグラスは、旧大浦天主堂に次ぐ美しさだと思うが、祭壇をライ
トアップしオルガンの音が流れると、さらに荘厳な宗教空間が形成される。
1991/11/16
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