寅さんが歩いた風景  第38作 知床慕情 秋田県角館町、北海道弟子屈町・斜里町、岐阜市

北海道の知床にやって来た寅次郎は、武骨な獣医・上野順吉(三船敏郎)が運転するポンコツのライトバンに乗ったのが縁で彼の家に泊ることになる。順吉はやもめ暮らしで、この町のスナック“はまなす"のママ・悦子(淡路恵子)が洗濯物などの世話をやいていた。“はまなす"は知床に住む気の良い男たちのたまり場で、常連は船長、マコト、文男、それにホテルの経営者の通称“二代目"たち。そこに寅次郎が加わっ た。

そんなある日、順吉の娘・りん子(竹下景子)が戻って来た。駆け落ちして東京で暮らしていたが、結婚生活に破れて傷心で里帰りしたのだ。寅次郎たちは暖かく迎えたが、父親の順吉だけが冷たい言葉を投げつける。身辺の整理のため、東京に一度戻ったりん子は寅次郎からの土産を届けにとらやを訪れ、さくらたちから歓待を受けた。

東京から戻ったりん子も囲んで、“知床の自然を守る会"と称するバーベキュー・パーティが広々とした岸辺で開かれた。そこで一同は悦子が店をたたんで故郷に帰る決心であることを知らされた。順吉が突然異議を唱え、寅次郎は「勇気を出して理由を言え」とたきつける。順吉は端ぐように「俺が惚れてるからだ」と言い放った。悦子の目にみるみる涙が溢れる。船長が「知床旅情」を歌い出し全員が合唱した。寅次郎はりん子に手を握られているのに気づき身を固くした。

その晩“はまなす"では宴会が開かれ、順吉と悦子は結婚することになった。翌朝、寅次郎が別れも告げずに旅立ってしまったことを知り驚くりん子。船長がりん子に惚れてるんじゃないかとからかったためだった。東京に戻り職をみつけたりん子はとらやを訪れる。その頃、寅次郎は岐阜で初秋を迎えていた


●秋田県角館・桧木内川(ひのきないがわ) 09/4/27 EOS 5D

オープニングの寅さんの語りの画面に登場するのが桧木内川堤の桜並木。

 さまざまな事思い出す桜かな。昔の人は味のある事を言ったものでございます。
 満開の桜を眺めておりますと、わたくしのような愚か者でもさまざまな事を思い出します。

 思い起こせば、親父と大喧嘩をした十六の春
 これが見納めかと涙をこぼしながら歩いた江戸川の土手は一面の桜吹雪でございました。
 今では一本も残っておりませんが、私がガキの自分、江戸川づつみは桜の名所だったのでございます。

 毎年春になると、両親に連れられ妹さくらの手を引いて花見見物に出かける時の
 あのわくわくするような楽しい気持ちを今でもまざまざと思い出します。
 
 あ、申し遅れました。わたくしの故郷と申しますのは、東京は葛飾柴又、江戸川のほとりにございます。


弟子屈町硫黄山 06/6/12 *istD
おいちゃん、おばちゃん、さくらがテレビを観ていると、北海道の中継があり、アナウンサーが観光客にインタビューする。
その観光客が寅さん、カメラに向かって叫ぶ。 おいちゃん、おばちゃん、観てるかい。オレ、今すごく反省してるからな。
寅さんがインタビューを受けたのは、硫黄山の売店の前。



このように地熱で卵を蒸し、5個400円で売っていた。

斜里駅、オシンコシンの滝 06/6/9 *istD
斜里駅は東京から帰って来るりん子が降りる駅。
斜里駅は知床半島への最寄駅、1998年に知床斜里駅に改称された。ここからウトロまでは20kmくらい。
駅舎は改築されていたが、ホームや跨線橋はロケ当時のままだった。
りん子は駅から自宅へ電話して、タクシーに乗る。途中、オシンコシンの滝の前を通る。


知床斜里駅。


オシンコシンの滝→滝を見にゆく/オシンコシンの滝

ウトロ 06/6/9 *istD
この映画のロケの中心になったところ。

「スナックはまなす」としてロケされた「民宿酋長の家」。

ウトロ港。後方はオロンコ岩。

オロンコ岩から見たウトロの港と町並み。

正面の三角岩の下から遊覧船が出ている。

知床半島 06/6/9 *istD
寅さんとりん子は船長の船で、知床半島クルーズに出る。
美しい知床海岸の風景が映し出される。その中で、滝が2か所映し出されていた。
 
りん子 ホラ、あれがカムイワッカの滝
 
寅さん カムチャッカ?
 
りん子 ううん、カムイワッカ。 あたしもはじめてなの。
 
寅さん こんな近くにいてかい?
 
りん子 そんなものよ。

灯台の原っぱ 06/6/9 *istD
「あした、灯台の原っぱでバーベキューやるべな」という船長の呼びかけで、灯台の見える原っぱでバーベキューがはじまる。
船長のあいさつからはじまり、順吉が悦子への思いを告白し、知床旅情の合唱で終るこのシーンは素晴らしかった。
灯台の原っぱへは、知床自然センターから片道約1kmの遊歩道がある。海が見える気持ちのよい原っぱだ。


バーベキューをしたのは、このあたり。


順吉が座っていた岩。後方に見えるのは羅臼岳。

船長のあいさつ


 えー、本日はお忙しいところー、別に忙しくねぇか。
 えー、知床の自然を守る会もここに3周年をむかえました。

 しかし、その間、オレたちの北海道には不景気の風が吹きまくってる。
 魚は獲れねぇ。牛飼いは離農する。炭坑は廃坑になる。
 この上、この美しい自然がけがされるようで、たまったもんでねぇ。
 オレたちに残された最後の財産を守るために、この会は発足したという訳だ。


 そういうゆるくない話ばかりの中でオレがうれしかったことは、
 秋アジが生まれた川へ戻ってくるように、りん子ちゃんが帰って来てくれたということであり、
 オジロワシがシベリアから飛んで来て、この知床半島に羽を休めるように、寅さんという色男が仲間に入ってくれたことだ。

 寅さん、いつまでもこの町にいてください。
 それから、りん子ちゃん、もうどこさも行くな、オレたちとずっと一緒に暮らすべ。
 この町は住んでみれば、決して悪い町じゃないと思うよ。

長良川 04/5/1 E-100RS
知床で夏を過ごした寅さんは長良川へやって来る。
花火をバイしているポンシュウは暑さでダウン、代りに威勢のいい寅さんの啖呵バイがはじまる。

第38作知床慕情のラストシーンがロケされたのは岐阜県長良川河畔。夏になれば、季節の映像として映し出される鵜飼の場所である。
「終」の文字が出る場面では、岐阜城のある金華山から長良川を俯瞰した絵で終る。


花火の屋台があったあたり。


金華山から長良川を見る。