寅さんが歩いた風景
  
  第43作 寅次郎の休日
日田市皿山、耶馬溪町馬溪橋、日田市安心院製材所
日田市高瀬たばこ店、三隈川河畔、玖珠町亀都起神社
     
 満男の初恋の相手で今は名古屋に住んでいる泉(後藤久美子)が現れた。泉の両
親は別居中で、それに耐えられない泉は、父に会い戻ってくるよう説得しょうと、
東京へ出てきた。しかし、泉の父は会社を辞め、相手の女性の実家がある大分県日
田へ転居していた。東京駅まで泉を見送りに行った満男は、日田へゆくという泉と
そのまま列車に乗り込んで一緒に九州まで行ってしまう。

 満男のとつぴな行動にただ当惑するさくらに、旅から帰ってきた寅さんが、いつ
までも子ども扱いするから一人前になれないんだ、と説教する。ところが、泉の母
礼子(夏木マリ)の出現でコロリと態度を変え、寅さんは礼子をせきたて出て行く。

 一方、泉と満男は日田で父・一男(寺尾聴)を探しあてた。だが、一男の相手の
女性(宮崎美子)にもの静かさと慎ましやかさを感じた泉は、一男は再び戻っては
こないと確信した。さびしそうに肩を落す泉を、満男は優しくなぐさめた。

 後を追って来た寅さんと礼子が、満男と泉に合流。その夜、四人は天瀬温泉に泊
まり、女中さんに家族と間違えられる。すっかりその気になった寅さんだったが、
翌朝、礼子と泉は置手紙を残して去っていってしまう。
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  泉は、佐賀から転居し名古屋の高校に通学している。満男は大学生。ゴクミシリーズの第2作。
  この43作の頃から、渥美清さんの体調は悪化したようで、声がかすれている。

43-onta.jpg (171305 バイト)冒頭の夢のシーンのシシオドシの音と日田市皿山の唐臼の音が重なり、小鹿田(おんた)の窯元の縁側でうたた寝をしていた寅さんが目をさます。

そして、窯元の奥さんにお礼を言って、坂道を下りて行くと、タイトルバックへと場面が展開する。

寅さんは、時々とんでもない場所に現れるが、ここ小鹿田もそのひとつである。

寅さんの商売やストーリーの展開から考えると、小鹿田は全く関連性がないし、ちょっと立ち寄るには不便な所にある。

しかし、映画を見ているとなんともいい雰囲気で、そういう理屈はどうでもよいと思えてくる。


  ロケが行われた小鹿田焼の窯元と唐臼。
  99/9/18 PentaxMZ3/28-70mm

43-bakeibasi.jpg (211610 バイト)第43作のタイトルバックに登場するのは、大正15年建造の馬溪橋。寅さんが、右から左へと石橋を渡ってゆく。

寅さんはいくつかの石橋を渡っている。第21作が熊本県矢部町の通潤橋、第28作が福岡県甘木市の秋月眼鏡橋、第45作が宮崎県日南市の堀川橋、そして、この馬溪橋である。

寅さんにとって、橋は通過点にすぎないが、第45作では堀川橋から物語が始まる。この43作では、堂々とタイトル バックに使われているのがうれしい。

馬溪橋へは何度か行っているが、最初映画を観たときには馬溪橋とは気付かなかった。写真と映画を見比べて、ようやく馬溪橋であることが分かった。

  冬枯れの山国川、夕陽に染まる馬溪橋。94/1/4 NikonF4s/24-50mm

43-ajimuseizaisho.jpg (180397 バイト)泉の父親に会うために 、新幹線で日田にやって来た泉と満男は父親が働いている製材所を訪ねる。父親は休みで不在のため豆田町へ向かう。

この製材所の事務所は土蔵造りで、この事務所の裏にもう1棟、土蔵造りの建物があった。

この製材所は三隈川沿いの銭渕橋のたもとにあり、事務所の前から、対岸の鵜飼船や亀山公園がよく見える。

    土蔵造りの安心院製材所。99/8/25 PentaxMZ3/28-70mm


43-takasetabako.jpg (233872 バイト)製材所を訪ねた後、泉と満男は泉の父親が身を寄せている豆田町の「ふたば薬局」へむかい、父親と再会し、相手の女性にも会う。

映画では薬局であったが、実際はたばこ屋さん。玄関中央の柱に、男はつらいよの撮影現場である旨の張り紙、ショーケースの中に撮影風景の写真が展示されていた。

第43作が撮影されたのが1990年、写真は色あせていて、時の流れを感じさせた。

高瀬たばこ店は、咸宜園から少し北へ行った所にある。

   映画では「ふたば薬局」、実際は「高瀬たばこ店」。
      99/8/25 PentaxMZ3/17-28mm

43-mikumagawa.jpg (180108 バイト)泉と満男を追って 、寝台特急でやって来た寅さんと泉の母・礼子は、二人を探し疲れて、左手手前のボート乗り場で休憩中。

そこへ偶然に、右手の道から、泉と満男が現れ、再会を喜ぶ。

右手の道を少し行くと旅館街で人や車の往来が激しいが、一歩通りを入ったこのあたりは静か
で落ち着ける。

   三隈川河畔、後方は亀山公園。99/8/25 PentaxMZ3/28-70mm

  ラストシーン近く、金町から泉の待つ柴又の自宅へ自転車を走らせる満男の語り。
  「男はつらいよ」のテーマが凝縮されたような語りだった。

   おじさん、人間は誰でもしあわせになりたいとそう思っている。
   僕だって、しあわせになることについて、もっと貪欲になりたいと考えている。
   でも、それじゃぁ、しあわせってなんなんだろう。

   泉ちゃんは、「お父さんはしあわせそうに暮らしている」と言ったけど、あのお父さんはほんとうに
   しあわせなんだろうか。

   おじさんのことについて言えば、タコ社長は「寅さんが一番しあわせだよ」とよく言うけど、おじさん
   はほんとうにしあわせなんだろうか。仮におじさん自身はしあわせだと思っていたとしても、お母さん
   の目から見てふしあわせだとすれば、いったいどっちが正しいのだろうか。

   人間はほんとうに分かりにくい生き物なんだな、と近頃しみじみ僕は思うんだ。

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玖珠の町はずれにある亀都起(きつき)神社。
99/8/25 PentaxMZ3/28-70mm
映画のラストシーン。左手の灯篭の前で、寅さんとポンシュウがCDをバイする。

映画で見たときは広々とした感じを受けたが、カーブミラーが立ったり、木がのびていたりして、わずか9年間でかなり雰囲
気が変わっていた。

亀都起という名前もユニークだし、大きな灯篭もユニークだった。






 

[寅さんが歩いた風景]