木造の西洋館



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三池港倶楽部(福岡県大牟田市・明治41年)

建築はもっとも雄弁に時代を語る存在である。しかも具体的な姿・形をもっている。そこにはその建築を建てた時代の科学や技術が結集している。

 時代の先端を切るものもあり、あるいは貧しく遅れた科学や技術しか応用できなかったものもあろう。しかし、いずれにしてもその時代の人間の能力の枠を越えることはできない。

 おしなべていえば、傑作も駄作も、あるいは大建築も貧しい建築も、それぞれに、その時代の科学や技術、あるいは物質的な水準を否応なく反映するものである。

 それと同時に、建築には時代の精神が凝縮する。建築の姿や形を最終的に決定するのは、やはり人間の意志である。

 科学や技術だけでは形にならない。その意志は時代の精神の中で育ったものである。

 建築の様式とか意匠あるいはデザインとよばれるものが、個人のそれぞれの個性を示しながらも、時代を、時代の精神を反映するのもそのためである。

                              村松貞次郎『日本近代建築の歴史』より

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                   鐘の鳴る丘(長野県穂高町・明治中期)


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