東大寺の境内には、ゆたかな自然がある。
境内は華厳世界のように広大である。一片約一キロの正方形の土地に、二月堂、開山堂、三月堂、三昧堂などの堂宇や多くの子院その他の諸施設が点在しており、地形は東方が丘陵になっている。ゆるやかに傾斜してゆき、大路や小径が通じるなかは、自然林、小川、池があり、ふとした芝生のなかに古い礎石ものこされて
いる。
日本でこれほど保存のいい境内もすくなく、それらを残しつづけたというところに、この寺の栄光があるといっていい。
司馬さんは、「奈良散歩」の中で、談山神社、唐
招提寺、興福寺、東大寺をとりあげているが、特
に二月堂界隈がお気に入りだったようである。し
たがって、ここでは二月堂界隈にしぼって紹介し
てみようと思う。 |

大路の道標。 境内の道標に二月堂の文字。
大阪、京の文字。 |