四国札所の石仏
遍路道の道標と石仏(9) 恩山寺・勝浦町沼江・天皇寺裏・本山寺・雲辺寺 |
観音様のお迎えだ
交通量の多い国道五十五号線の喧騒をのがれ、遍路道に入る。
旧参道に建っている仁王門を右手に見ながら、第十八番札所恩
山寺をめざす。ここまで来ると、全札所の約二割を打ち終えた
ことになり、札所巡りにも慣れてくる頃である。
境内に入ると左手に大師堂があり、正面に本堂へ登る石段が
見える。石段を登ってゆくと、観音像がむかえてくれる。
四国札所には地蔵が多いが、観音もよく見かける。今までに
どれだけの観音に出会ったであろうか。恩山寺の観音は、背景
がぬけていて、すっきりとした空間に立っている。そして、大
師堂の屋根がアクセントになっていて好ましい。
『へんろ』2000年10月号
鶴林寺への道標
第十九番札所立江寺から第二十番札所鶴林寺までは約十五キロ。
鶴林寺は標高五百五十メートルの山上にあり、途中から山登りに
なるので、徒歩で五時間くらいかかる。
立江寺から約六キロ、県道が交差する地点に鶴林寺への道標が
建っている。中央に鶴林寺の文字、下部に施主名、上部に大師像
と大きな手が刻まれている。大師像の下に二つの絵柄が刻まれて
いて、右はとっくりのような形をしているが、何の絵柄なのか確
認できなかった。
道標のある交差点を左へ勝浦川沿いを約四キロ進むと、いよい
よ鶴林寺への登りにさしかかる。ここ勝浦町は温州みかんの産地、
遍路道の両側にみかん畑が広がっている。
『へんろ』2000年12月号
坂出の三尊仏
第七十九番札所天皇寺は、予讃本線八十場(やそば)駅の近く
にある。国道十一号から北へ入るか、八十場駅の東側から入るの
が一般的であるが、八十場駅の西側から入ってみた。
道が少し分かりにくかったが、うろうろしている内に白峰神社
の裏に出た。クスの古木のむこうに見えるのは神社そのものであ
り、天皇寺を探すのにちょっと時間がかかった。しかも、八時を
過ぎているのに納経所は閉まっていて、声をかけても反応がない。
その石仏に出会ったのは、白峰神社裏手のお堂のそばだった。
三尊仏は愛らしくてほほえましい表情をしていた。七十九番が空
白のままの納経張を持って、三尊仏にまた会いにゆきたいと思う。
『へんろ』2001年1月号
へんろ石と地蔵
七十番札所本山寺は、堂々たる真言宗の寺院である。本山寺に
近づくと、まず、行く手に五重塔が見えてくる。田園の中にある
ので、奈良の斑鳩に来ているような錯覚にとらわれることがある。
財田川にかかる本山橋を渡って唐様の仁王門から広い境内に入
ると、左右に護摩堂と大師堂があり、正面の突き当たりが本堂の
国宝観音堂、そして、本堂の左手に高い五重塔が立っている。境
内に入っても、奈良の大寺院にいるような錯覚はつづく。
右手にある門の前にへんろ石があり、へんろ石に華をそえるか
のように地蔵が立っていた。地蔵はカラフルな前掛けを付け、頭
には毛糸の帽子をかぶっていた。
『へんろ』2001年2月号
雲辺寺の青面金剛
四国の札所で青面金剛(しょうめんこんごう)に出会うのはま
れである。大分の国東半島などに比べると、四国には青面金剛の
数が少ない。遍路道や札所となると、さらに出会えるチャンスが
限られてくる。
今までに、3箇所で青面金剛に出会った。焼山寺へ向かう途中
の杖杉庵、大窪寺へ向かう道端の祠の中、そして、雲辺寺の境内
であった。
六十六番札所雲辺寺は、高い山の上にある。歩きの場合は今で
も難所であるが、空海の頃にはかなりの深山であったにちがいな
い。しかし、現在ではロープウエイに乗って簡単に参拝できる。
青面金剛は手水鉢の前、壁面より奥まった所にまつられていた。
参拝する人は地蔵だと思うだろう。
『へんろ』2001年3月号
[四国札所の石仏][遍路道の道標と石仏(10)]
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