満男が想いをよせる泉(後藤久美子)が、楽器店に就職の面接のため上京してき
た。翌日の面接に満男が付き添っていったが、就職はうまくいかず、泉は失意のう
ちに名古屋に帰って行った。名古屋では、母の礼子(夏木マリ)の再婚話が進んで
いた。
しばらくして満男のもとに泉から手紙がきた。鳥取からで文面はさびしいものだ
った。そこへ泉の母から泉の家出を知らせる電話が入つた。満
男はさくらが止めるのをふりきり、家を飛び出し鳥取砂丘へむかう。
山陰を旅していた寅次郎は、偶然にも泉に出会う。懐かしい寅次郎の顔を見た途
端、泉は泣きだしていた。翌日、泉は鳥取砂丘で満男と再会したが、満男は寅次郎
が一緒にいるのにピックリ。寅次郎は、とある料理屋に二人を案内した。
料理屋の女将の聖子(吉田日出子)は、昔、寅次郎が惚れた女性だった。その後
聖子は板前と結婚したが、夫を事故で亡くし今はひとり暮しだった。
寅次郎・満男と会って気持ちがなごんだ泉は、母親の再婚を祝福する気持ちにな
り、満男とともに名古屋へと帰って行った。寅次郎は鳥取駅で二人を見送る。 |
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泉 おじちゃま、色々ありがとう。
寅さん うん、おかあちゃんと仲良くな。
女だから、時々寂しくなることもあるんだよ。
お前、娘だから、そこんところをよく分かってやれよ、な!
満男 おじさんは寂しくなることないの?
寅さん バカヤロウ、俺は男だい。
寂しさなんてのはな、歩いてるうちに風が吹き飛ばしてくれらあ。 |
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岐阜県落合川駅、奥恵那峡 2007.4.11
川が流れております。
岸辺の草花を洗いながら、たゆまず流れ続ける川をながめますと、何やらわたくしの心まで洗い流される気がして
まいります。
そうしていつしか思い起こされるのは、わたくしのガキの頃のことでございます。
わたくしは川のほとりで生まれ、川で遊び、川をながめながら育ったのでございます。
祭りから祭りへのしがない旅の道すがら、きれいな川の流れに出会いますと、ふと足をとめ、柄にもなく物悲しい気
分になって川をながめてしまうのはそのせいかも知れません。
という寅さんの語りでこの映画ははじまる。
落合川駅へ降り立った寅さんとポンシュウはバスに乗り遅れる。
ここで、「男はつらいよ」のタイトルが出る。
恵那峡下りの観光船にも乗り遅れ、結局、夫婦の船に便乗して恵那峡を下ってゆく。

語りの冒頭部分に登場する落合川駅付近の木曽川の鉄橋。

落合川駅。左手の桜のあたりに、茶色の瓦屋根の貸ボート屋さんがあったが取り壊されていた。

夫婦の船に便乗する恵那峡下り船乗り場跡付近。この鉄橋は北恵那鉄道の廃線跡。
北恵那鉄道は1978年に廃止されたが、廃止から30年近くたってもこの鉄橋は残っている。
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鳥取市・若桜(わかさ)橋 2000.4.29
傘踊りでにぎわう鳥取市へやってきた寅さん・ポンシュウ・サブの3人は、若桜橋の近くで商売をする。

若桜橋は鳥取市の中心部・国道53号線上に架かる。 傘がデザインされたカラフルな蓋。
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鳥取県倉吉市・打吹(うつぶき)公園 2000.4.13
東京の楽器店への就職がうまく行かず、その上母親の再婚問題で悩んでいた泉は、鳥取へ傷心の旅に出る。
倉吉の打吹公園から校庭のブラスバンドの練習風景を見て、高校時代をしみじみと回想する。

泉は柵の上に手をのせて、ぼんやりと校庭をながめる。ここは櫻の名所、4月の花見時が一番賑わう。
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鳥取県倉吉市・白壁土蔵群 2000.4.28
泉は、倉吉の白壁土蔵群を散策して、小さな駄菓子屋に立ち寄りアンパンを買う。その店のおばあちゃん
から一緒に夕食を食べようとさそわれ、とうふを買いに行く。その帰りに、偶然にも寅さんと出会う。

おばあちゃんが経営する駄菓子屋は左から2軒目。寅さんが左の道、泉が右の道を歩いていて出会う。
おばあちゃん役の杉山とく子さんがいい味を出していた。三味線をひきながら、「何の因果で貝殻こぎ習
ろた」としわがれ声で歌うこの地方の民謡貝殻節もよかった。
■■■ 倉吉/町並みウォッチング ■■■ |
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白壁土蔵群 |
酒屋さんの店頭 |
エキゾチックな大蓮寺 |
旧国立第三銀行 |
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鳥取県・魚見台 2000.4.28
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寅さんと泉は、おばあちゃんの孫の
車で、倉吉から満男が待っている鳥
取砂丘へ、国道9号線を東へ向かう。
車の左手は日本海。泉が「海!」と
叫ぶのが、気高(けたか)町魚見台付
近。
このあたりは道路が海面よりかなり
高い位置を走っていて、美しい海岸
線を望める。
貝殻節は、魚見台のあるこのあたり
の民謡である。
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■ 鳥取砂丘 2000.4.13,28
満男は鳥取砂丘のてっぺんで泉が来るのを待っている。「センパーイ」と叫ぶ声がする。見れば砂丘の
下で泉が手を振っている。満男は砂丘を転がりながら下りて行き、泉の無事を喜ぶ。

夕暮れの砂丘。砂丘の向こうは日本海。 砂の描く造形の美しさ。
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鳥取県河原町・新茶家 2000.4.28
寅さんが昔好きだったお聖ちゃんが女将
さんをしている料亭。
お聖ちゃんの主人の墓参りを終えた寅さ
ん・満男・泉の3人は、ここに泊まる。
その夜、お酒を飲みながら盛りあがって
いる寅さんとお聖ちゃんの様子を見に行
った満男は、手すりが壊れ階段から転げ
落ちる。
割烹旅館あゆ料理の「新茶家」は、河原
町の国道から1本東の通りにあり、昔な
がらの民家が建ち並んでいる。この道を
左方向へ行くと、バス停のある出合橋。
おとずれた時は、お祭りの準備でしめ縄が張られていた。
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鳥取県河原町・八東(はっとう)川河畔 2000.4.29
階段から落ちて軽いけがをした満男は、泉の
付き添いで病院へ行き治療を受ける。帰りに
二人は千代川の支流・八東川へ立ち寄る。
満男と泉が話をするのが、手前の中州。
満男 あのおじさんはね、手の届かない女の人には夢中になるんだけど、その人がおじさんの
ことを好きになると、あわてて逃げ出すんだよ。今までに何遍もそんなことがあって、
その度に、俺のおふくろは泣いてたよ。馬鹿ねぇお兄ちゃんは、なんて言って。
泉 どうしてなの? どうして逃げ出すの?
満男 わかんねぇや。
泉 自分のおじさんのことでしょ、どうしてわからないの?
満男 つまりさぁ、きれいな花が咲いているとするだろう、その花をそっとしておきたいなぁ
という気持ちと、奪い取ってしまいたいっていう気持ちが男にはあるんだよ。
泉 ふーん。
満男 あのおじさんはね、どっちかというと、そっとしておきたいなぁという気持ちの方が強
いんじゃないかな。
泉 じゃあー、先輩はどうなの?
満男 えっ俺? 奪い取ってしまう方だよ、なーんちゃってね。
なーんちゃってね、と言った後で手に持っていた小石を投げる。
運悪く、鮎釣りの釣り人に当たり、怒った釣り人が追いかけてくる。
二人は土手を駆け上がり懸命に逃げる。
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鳥取県河原町・千代(せんだい)川堤防 2000.4.13
お聖ちゃんのところでお世話になった寅さん・満男・泉の3人は、出合橋というバス停から鳥取駅行き
のバスに乗り込む。それを見送るお聖ちゃんは寂しげだった。

石段の上がバス停という設定。今はごみ集積場になっていた。実際はバス道路ではない。左が千代川。
■■■ 河原/町並みウォッチング ■■■ 河原町の三枝垂櫻 |
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民家のむこうに河原城 |
雪が残る落河内のカツラ |
弓河内の枝垂櫻 |
鮎がデザインされた蓋 |
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鳥取県・若桜(わかさ)鉄道安部駅 2000.6
映画のラスト近く。満男が無事に柴又へ着いたかどうか、駅の公衆電話で確認した寅さんは、ポンシュウ、
サブといっしょにこの駅で列車を待つ。

左手の入口に赤電話があった。
寅さんたちが列車を待った安部駅のホーム。
この2枚の写真は、鳥取県若桜町在住の谷口剛史さんに提供していただいた。
谷口さんは当時若桜鉄道の社員
、今はどうされているだろうか。

駅舎入口
に「男はつらいよ」ロケ地のプレート。 2016/11/12
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岐阜県・安弘見(あびろみ)神社
2007.4.11
映画のラスト。寅さんとボンシュウは初詣でにぎわう神社で商売をしている。そこヘサブが彼女を連れてあらわれる。
サブは地元の会社に就職し、彼女と結婚するのだという。寅さんとポンシュウはサブの再出発を祝う。
そして、境内では花馬の奉納がはじまる。

場面が転換すると、振袖姿の娘さんたちが映し出されるのがこのあたり。
左手の立派な民家は「笠置鶴」の大橋酒造。この道の突き当りが安弘見神社。
現在は中津川市蛭川であるが、ロケ当時は蛭川村だった。


安弘見神社の参道は長い。
参道の途中にある赤い鳥居のあたりで寅さんは商売をする。
赤い鳥居からさらに進むと右の写真の鳥居があり、坂になった石段がある。
映画では、花飾りを背負った馬(花馬)がこの石段を駆け上がってゆく。
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