大学卒業を控えた満男は、就職試験に悪戦苦闘。さくらと博は腫れものにでもさ
わるかのようにしていたが、それがさらに満男を苛立たせ、満男は逃げるように家
を出、ふらりと高松行きの寝台特急「瀬戸」に乗ってしまう。
満男が家を出て一週間後、寅さんが旅から帰ってくる。寅さんは、満男が送って
きた土産の住所をたよりに香川県琴島へと向かい、満男を探し出す。
満男は島での暮らしに満足しているうえに、看護婦の亜矢(城山美佳子)にほの
かな恋心を抱いていた。寅さんは、満男が世話になっている田宮家に泊まることに
なり、当主(島田正吾)の娘・葉子(松坂慶子)に一目惚れしてしまう。
葉子は神戸で料理屋をやっていたが、借金をつくり体をこわして島に戻ってきた
という。やさしく勇気づける寅さんに、葉子はぬくもりを感じるようになっていた。
葉子は、満男の、寅さんが好きかとの問いに静かにうなずいた。葉子の反応に満
男はびつくりしたが、結局、寅さんは葉子の愛を受け入れることができずに、満男
とともに島を出る。柴又に帰った満男は就職活動を再開する。 |
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劇中での寅さんのセリフ
旅というのはな、行く先を決めてから出かけるもんじゃねえんだよ。
汽車の窓からのんびり外を見ている。おだやかな瀬戸内海。緑の島。
あー、行ってみたいな。傷ついた満男はふらり駅に降りる。
日の暮れる浜辺にたたずみ、沈む夕陽を見つめる満男。ボォー、遠くを行く連絡船。
ドォドォドォドォドォドォザブーン、寄せては返す波の音。
瀬戸の夕焼けってのは、そりゃきれいだからね、おばちゃん。
この映画で、雨の降るなか、西田敏行扮する浜ちゃん(釣りバカ日誌)が、「全然だめ」と言いながら
とらやの前を通りすぎてゆくシーンがあった。これは、山田監督の遊び心だったのだろうか、それとも
西田敏行さんの希望だったのだろうか。
■栃木県烏山町 02.9.22
冒頭のシーン。ポンシュウとバスを待つ寅さんが花嫁行列と出くわす。寅さんは、花嫁さんに「きれいだよ」と声をかける。
タイトルバックに入り、国指定重要無形民俗文化財の烏山町・山あげ祭のシーンが映し出され、石造りの建物の前で寅さんとポンシュウがバイをしている。寅さんは運勢占い、ポンシュウは怪獣
のおもちゃ。 |

バス停と設定された付近から花嫁さんが出て
くる民家を見る。バス停の表示は畑中。 |

栃木県では大谷石の建築物をあちこちで見かけた。
この建物は「中央」という交差点にあった。 |
■香川県・志々島(ししじま) 2000/2/17

家出した満男を探しに琴島へやって来た寅さんが、マフラーを風になびかせながらさっそうとこの港に降
り立つ。満男が東京に帰るときに、看護婦の亜矢とつらい別れをする港でもある。
映画では琴島ということになっていたが、ロケは志々島と高見島で行われた。志々島では船は桟橋の左側
に着くが、映画では光線状態を考慮して右側に着けていた。
おとずれたときは、菊などの花の出荷の時期で、農家の人たちが連絡船に花を積みこんでいた。島の人口
は約40人、学校はなく、子供や若い人には出会わなかった。

船から降りた寅さんは海岸を左へ向う。反対側からきた満男と出会い、話をするのがこのあたり。
寅さんは、右手の階段に腰掛ける。この階段の前に、木彫りの立派な記念碑があった。
寅さん 両親の心配をよそに、この孤島でかわいい娘さんと歌をうたっていたかぁ。さぞ
かし気分が晴れただろうな。さ、支度しておじさんと一緒に柴又へ帰ろう。
満男 朝4時くらいに起きて漁に出たりするんだ。この新鮮な空気を吸いながら一日中
働いているとね、おじさん、あぁ、俺は今生きてんだなって、そんな気持ちが心
の底から湧いて来るんだよ。
港のトイレに入った。トイレはきれいだった。入口に貼られたベニヤ板には、次のように書かれていた。
このトイレは皆んなで使用するものです。後から来る方が、気持ちよく使用できる様に
いつもきれいにしましよう。もしも壁に落書きをしたい方は、下の黒板に思いっきり書
いて下さい。いつまでもきれいに使えるトイレの為に、皆様方の御協力を御願いします。
漁から帰って来た満男は、畑仕事を手伝う。仕事は、花が倒れないようにロープを張るものである。
そのとき、看護婦の亜矢が通りがかり、満男は仕事の手を休める。
志々島の花の時期は真冬である。ロケが行われたのは秋、まだ花はなかった。
この段々畑からは、瀬戸大橋が見える。思わず、『瀬戸の花嫁』の一節を口ずさんでしまった。
段々畑とさよならするのよ。
幼い弟、行くなと泣いた。
看護婦の亜矢は連絡船でやって来る。亜矢が勤めるのが、この診療所。
ここを通りかかった満男に、窓から顔をだした亜矢が、一緒に昼ご飯を食べようと声をかける。
この道を少し進むと、島の墓地に出る。墓は石ではなく、木の祠である。通りががりのおじいちゃんに聞くと、以前は土葬だったとのこと。
診療所の手前を左に曲り、坂道を登って行くと、島でただひとつの寺・利益院に達する。さらに進むと見晴らしのいい尾根に出る。そこから少し下ると、志々島の大クスがある。
■■■ 志々島ウォッチング ■■■ |
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古い造りの公民館 |
島のお墓 |
志々島の大クス |
瀬戸大橋が見える海岸 |
■香川県・高見島 2000/2/17
港から右へ少し行くと、左手に坂道の入口がある。
入口のすぐそばに、高見小・中学校があった。コ
ンクリート2階建てで、まだ真新しかった。校門
の前に梅の木があり、美しい花を付けていた。
港で会ったおじいちゃんの話によれば、若い人は
みんな島を出て行くので子供がいなくなり、学校
は近々廃校になるとのことであった。
学校の前を通りすぎると、伝統的な民家が見えて
くる。
港で出会った寅さんと満男は、この
坂道を登って行く。
積み上げられた石垣の上に立つ瓦屋
根の家。家と家の間には、細い道が
縦横にのびている。
何度か道に迷ったが、狭い区域なの
で、行ったり来たりしているうちに、
また同じ場所に戻って来る。
坂道を登るのに疲れた寅さんは、消
防格納庫の前に座り込む。
満男は、泊まれる所を探しにゆく。
そのときに、坂道の上から葉子が降
りて来る。
寅さんと葉子の頓珍漢な会話が印象
的だった。
葉子 こんにちは。
寅さん こんにちは。
葉子 どちらかおたずねでしょうか。
寅さん さぁー、どちらでしょうか。
葉子 はぁ?
葉子に一目惚れした寅さんは、葉子の父の家へ案内する。
それが、大聖寺前にある田宮家。残念ながら、ロケ当時の建物は撤去されていた。
このあたり、老朽化による建物の倒壊・撤去が目立つ。

坂道から見た大聖寺、後方の島影は多度津。 この空き地に田宮家があった。
葉子と満男の会話。
葉子 満男君、男の魅力はね、顔やお金じゃないんよ。あんたはまだ若いから、寅さん
の値打ちが分からんのよ。
満男 じゃぁ、お姉さん、分かるんですか。
葉子 分かるわ。
満男 おじさん、どんな魅力があるんですか。
葉子 そうねぇ、あたたかいの。それも、電気ストーブのようなあたたかさじゃのうて、
ほら、寒い冬の日、お母さんがかじかんだ手をじーとにぎってくれた時のような、
体のシンからあたたまるようなあたたかさ。
■香川県・八栗寺 01.9.9 CAMEDIA
琴島を出た寅さんと満男は、高松市内の祭りの雑踏の中で別れる。
場面は変わって、満男が無事に柴又へ着いたどうか、寅さんがさくらへ電話をしている。
寅さんが電話するのが四国第85番札所八栗寺の参道にある草だんごの店。
八栗寺までケーブルカーがあって、この参道を登って行くお遍路さんは少ない。

八栗寺参道、草だんごの店の前。店の横にはロケ地の看板。 八栗寺へのケーブルカー。
■香川県・富丘八幡宮 01.9.8 CAMEDIA
正月をむかえた神社。寅さんは、参道の石段の下で犬のぬいぐるみを売っている。そこへ、晴れ着
姿の女性が通りかかる。琴島の看護婦亜矢だった。そばには男性。新しい恋人か、と寅さんはひや
かし、お祝いにとぬいぐるみを亜矢にプレゼントする。石段を登るふたりに「しあわせになれよ」
と寅さんが声をかけると、ふたりは笑ってそれに応える。
この映画のラストシーンであるが、ロケ地は小豆島土庄町の富岡八幡宮。かなり高い位置にあって
眼下には穏やかな瀬戸内の海が見える。

参道の石段を見上げる(左)、山門から下を見る(右)。寅さんは石灯篭のそばで、ぬいぐるみを売っていた。
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