| 四国札所の石仏 遍路道の道標と石仏(6) 宝寿寺・白峰寺・星が森峠・延命寺 |
宝寿寺の道標
なぜ、これほどまでに、石の道標に心ひかれるのであろうか。
石の道標は野ざらしである。多くの遍路たちが、この道標を
見て札所までの距離を刻んだ。そして、今わたしもその道標を
見ている。この感慨が、石の道標へとわたしをひきつける。
石の道標に代わって、建設省の道路標識、へんろみち保存協
力会のみちしるべなど、様々な道標が設置されている。
愛媛県小松町の第六十二番札所宝寿寺の門前には、役割を終
えた道標が保存されていて、風雪に耐えた味わいがある。
最近、お堂建設のために門が撤去されたが、石の道標は健在
である。
『へんろ』1999年10月号
白峰寺参道の千手観音
香川県北部の標高約四百メートルの五色台に、第八十一番札
所白峰寺があり、登山道の所々からは瀬戸内海が見える。
参道の手前と門前に駐車場があるが、参道の手前で降りて歩
くことにした。この参道では、三十三観音の石仏に出会える。
観音石仏は、参道の右、木立の下の草むらに立っている。日
当たりが悪く、どの石仏も草が絡まっていて、まさに野仏の風
情である。
わたしが目にした千手観音も、青草の匂いのする雑草の中で
蔦に絡まっていた。正面で手を合わせ、五本の腕を広げている。
全体的に稚拙な彫りではあるが、どこか童画的でほほえましい。
『へんろ』1999年11月号
星が森峠の石仏
第六十番札所横峰寺は、石鎚山の遥拝所として開設されたこ
とから、石鉄山という山号が付けられている。
車の場合は裏側から入ることになるので、山門をくぐらずに
本堂に達する。香園寺からの昔ながらの遍路道が表で、こちら
側に山門がある。
山門の少し手前に右に登る道があり、しばらく行くと、鉄の
鳥居が立つ星が森峠に達する。真正面には石鎚山の全容が望ま
れる。ここが石鎚山遥拝所で、青年空海が足跡を残した聖地で
ある。
右側には祠があり、小石仏が安置されている。杉の木の前に、
二体の石仏が明るい秋の陽射しを受けて立っていた。
『へんろ』1999年12月号
真念の遍路道標
今治市の第五十四番札所延命寺へは、松山市の第五十三番札
所円明寺から、左手に瀬戸内の美しい海を見ながら約三十五キ
ロの旅である。
この地域は、四国で最もキリシタンの多かった所で、円明寺
には、マリア像を刻んだ石塔が残っていて、キリシタン哀史を
しのばせてくれる。
今治市はタオルの産地、延命寺の境内でもタオルを販売して
いる。売店の向かい、土塀のそばに、真念の小さな道標が立っ
ていた。真念は江戸初期の僧で、遍路の案内書を出し、道標や
通夜堂を建てて、遍路を助けた。
道標の文字は三百年の歳月を経てもなお、はっきりと読み取
れる。
『へんろ』2000年1月号
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