| 四国札所の石仏 遍路道の道標と石仏(8) 市場町・三角寺・高知県田野町・切幡寺 |
素朴なへんろ自然石
第十番札所切幡寺から第十一番札所藤井寺までは約十キロ。
その中間より少し手前の市場町八幡あたりでは、第十一番札
所への方角や距離をしめすへんろ石を数多く見かける。
第一番札所霊山寺を出発した時刻と歩く速さによって異な
るが、このあたりにさしかかるのは、二日目か三日目であろ
う。歩きにも少し慣れてきた頃である。
市場町には、有名な中務茂兵衛のへんろ石をはじめとして
様々な形のへんろ石が残っている。その中で自然石に刻まれ
た素朴なへんろ石が目に付いた。上部に方角をしめす手、そ
の下に「十一ばん」と刻んだだけのものである。
『へんろ』2000年6月号
木漏れ日浴びている如来
第六十五番札所三角寺には風情のある石仏が多く、急な石
段を駆け上がって石仏に会うまでの時間が楽しみである。
本堂の左手には、小ぶりではあるが表情のいい石仏が並ん
でいる。大師堂の右手にも小石仏があり、その先には台座が
付いたやや大きな石仏が並んでいる。
ある日の夕方、正面の石段を上り本堂と大師堂にお参りし
て、大師堂右手から三角寺の裏へ抜ける道を歩いた。
空は晴れているが、木々が多いため、石仏は日陰になって
いるものが多い。その中で、木漏れ日を浴びている如来に出
会った。如来には右肩から斜めに日が差していて、神々しか
った。
『へんろ』2000年7月号
ひっそりと手ざし石
第二十六番札所金剛頂寺から第二十七番札所神峰寺までは
約30キロ。安田町の神峰寺入口から5キロほど手前の田野
町の旧道には、ちょっと変わったへんろ石がある。
「肥前五嶋福江川のや政吉、此手四国中へ何百有之ミなへ
んろ道」と刻まれている。このへんろ石は、特定の方角や距
離を示すものではなく、四国内に手を広げた象徴的なもので
ある。長崎から巡礼にきた政吉という人が、記念に建立した
ものであろう。
今、お遍路さんは国道を通るので、旧道にあるこのへんろ
石を目にすることはない。今日も南国の陽射しを受けて、あ
の辻にひっそりとたたずんでいることだろう。
『へんろ』2000年8月号
切幡寺の阿弥陀如来
四国には至るところに石仏があり、どこへ行っても見かけ
るのが地蔵菩薩である。次に多いのが観音菩薩で、如意輪観
音をはじめ様々な表情の観音に出会える。しかし、阿弥陀仏
に出会うのはまれである。
第十番札所切幡寺の山門を進むと石段があり、石段を登る
と、参道はさらに右へ登る石段へと続く。ここには水場があ
り、その横に大きな青石に浮き彫りにされた阿弥陀如来像が
立っている。忠魂碑だそうだ。
それにしても、なんと見事な石像であろうか。建造年代は
新しいものであろうが、木洩れ日を浴びて青く浮かび上がる
姿は、荘厳で実に美しい。
『へんろ』2000年9月号
[四国札所の石仏][遍路道の道標と石仏(9)]
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